信頼と信用のモラン商会をご紹介致します。
新進気鋭の商人達の仕事風景
行商や運搬を行う商人は代々相続した商業ノウハウや信頼を使って…でなければ大きな組織に属して…売買を行い利益を得る。
そうでなければ商人は生きていけない。
商人はそもそも何処で何が得られるか?何が売り物になるか?誰に売れば良いか?何時売れば良いか?見極めが出来なければ野垂れ死ぬ。
たとえ見極めが出来ても、道中のモンスターはどうにもならない。
詐欺師や盗賊は栄えていればこそ襲い掛かる。
博打よりも博打。
だからこそ、『愚かなならず者の行商はいない』と言われている。
勝てない博打は馬鹿馬鹿しくてしない。しても死ぬから居ないと考えられているからだ。
だからこそ、先人の価千金の知恵や組織の力を駆使して商人は生き延びている。
力も実績も無い、得体の知れない相手に自分で丹精込めて作った自分の命を繋げる大切なものを渡し、挙句に金を払い、そうして目的地まで代理で運んで貰う。
出来る訳がない。
盗まれて終わるかもしれない。道中奪われて返ってこないかもしれない。そもそも売る当てはあるのか?そう考えると託すことを
最初は刺激臭が漂っていた。
乾かして本来の臭気よりも抑えられて尚鼻を突き刺し、そのままの勢いで頭を突き刺す程の臭い。
鼻をつまんで過ごす訳にもいかず、数日間ずっと、文字通り寝ても醒めてもその臭い。
食べる物の臭いがすべてそれになり、夢にも漂い、体からそれの臭いがして、最終的には鼻の中に臭気が巣食って、海風からもその臭いがしていた。
目的の海風に吹かれて、渋々顔を顰め乍ら荷台から運び出し、獰猛な動物からも凶悪な賊からも敬遠された道中を思い出した。
そして、最後に運び終えた後でその行動に意味があったと知った。
こうして仕事を終えて帰路に。臭いの無い帰り道だと思っていた。
生臭い。磯の香りと言えばそれらしく聞こえるが、魚の生臭い臭いが荷台から漂う。
それだけならまだ我慢出来ただろうが、卸した荷物が臭いの置き土産をしていたせいで生臭さと薬草臭さが混ざりあってなんとも言えない臭気を放っている。
さっきから小型の狼や野犬が遠くに見えたりはしてるのだが、近付こうとはしない。
そんなに臭うのか?
「ねぇねぇねえ、あの人達の役に立ってたよね?感謝されたよね?お土産貰ったし、また来てって言ってくれたし、大成功だよねぇねぇねぇ?」
隣から呑気な声が聞こえて力が抜けた。
副会長からの指示で最近獲得した薬草の供給ルートを周り、その足で海岸沿いの村を周った。
薬草が飛ぶ様に売れて、特産の干物や魚の油、その搾りかすを安く仕入れられた。
確かに商人としては大成功。
だからこそ、馬車を操る駆け出し商人のニューマンは恐怖していた。
「話が上手すぎやしないか?」
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