山の民、草原の民、茨城県民

野山に生きる彼らは、三角形だ。

血と火と毒を操り、生き抜いてきた彼らの目つきは鋭い。

だが、誰よりも遊び好きで、信心深い。

メリハリの利いた彼らの文明の命の循環は水のように世界を巡っている。


草原に生きる彼らは、まん丸だ。

羊を追い、大地をめぐる彼らの足のくるぶしのように丸っこい。

執着せず、風のように旅する彼らはあらゆるものを交換する。

交渉ともてなしと、見えない人の輪で彼らの文明は世界を巡る。


茨城県民は、四角形だ。

口が悪く、かっとなりやすいけれども人懐っこくて、やたらと野菜を持ってくる。

茶を飲んでお菓子を食べながら、畑仕事をして、飯をがっと食べてたっぷり眠ればそれでいい。

なんだかよくわからない理屈で、やたらと人が集まり、文句をいいつつも、酒が入ってお腹いっぱいになれば、だいたい笑顔になってしまう。

九州男児と常陸乙女といわれるように、女の人は強いがとっても優しい。

自分の事しか興味のない人が多いが、自覚しているせいか他人が好き勝手やっていても結構寛容だ。

だからやっぱり、茨城県民は四角形だと思う。


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