21g

雨に濡れた旗が落ちていた。


無数に、転がっている。


泥水を吸った旗が、空き地の地面をすっぽりと覆い隠している。


空から落ちてきた旗はそよ風を受け、生き生きとはためくが、いずれは地を這う仲間となる。


汚れ、文字も読めなくなった旗は、地を支えた。


生まれ、地に落ちる間の一瞬に伝え、堕ちては地を見下ろすものにしかその存在を証明できない。


そんなひらひらした命。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る