0-2 夏也side.
僕は暁久が好きだ。恋をしている。
暁久と言葉を交わすたび、顔を合わせるたび、彼のことを「好きだなあ」と感じる。毎日一緒に勉強する時間が幸せで仕方がない。
『暁久、すきだよ。』
そうやってまっすぐな言葉を伝えられない自分に腹が立つ。伝えられないのはきっと男が好きだって知られるのが怖いから。「すき」ってたった二文字なのになんでこんなに怖いんだろう?
暁久はとっても優しい。もちろん僕にだけじゃなくみんなに。
彼はみんなに平等に優しい。そんな彼が好きだ。でも、そんな彼の誰にでも優しい性格に嫉妬してしまう自分がいる。
「自分だけに優しくしてくれたらいいのに......」
そんな自分が醜く見える。
僕は、告白をためらったり嫉妬したりする内気で陰気な自分の性格が嫌いだ。この性格のおかげで「夏也って空気がよめないよな」と何度言われたことだろうか。
でも彼は、暁久は、そんな僕を受け入れてくれた。
暁久はそんな僕を「穏やかで心があったかくなる人だ」と言ってくれた。そんなこと生まれてこのかた友達から言われたことなんてなかった。だから、自分の中にそんな自分がいるとは思っていなかった。
そんな言葉をかけてくれた彼を意識するようになったのはいつからだったろうか。
それはきっと暁久と一緒に勉強し始めて少し経った頃のことだったように思う。
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