第31話 すっぽんぽん2(いもうと5)

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 シャワーを浴びていたご主人様が、すっぽんぽんで飛び出してきた。


 執筆のいいアイデアを閃いたご主人様が、メモを取りにまろびでてきたのだ――けれど、


「ふぇ……? ぎにゃぁぁぁぁぁあああ――――っっっっ!!??」


 ちょうど遊びに来ていた「いもうと」が、天雷のごとき叫び声を上げた。


「な、ななな、なんですっぽんぽん!!??」


「ん? そんなもん、風呂に入る時は裸に決まってるだろ? お前は服着てはいるのか? それより忘れないうちにメモだメモ……あ、そこの机の上にあるメモ帳とボールペンを取ってくれ」


「メモ帳より先に隠すもん隠しなさいよぉ!?」


「おいおい、いけずするなよ、ほら早くメモ帳。アイデア忘れちゃうだろ、ほらほら」


「ち、近寄ってこないで、この変態お兄ちゃん! ひぃっ……茂みから顔を出したゾウさんがパオーンをプラプラさせてるよぉ……」



 吾輩は軽く顔をあげてそれを見ると、むにゃむにゃと再び惰眠をむさぼりに入った。


 今日も我が家は平和であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る