第18話 おとまり(いもうと3)

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「お兄ちゃん、今日泊まってくねー」


「はぁ? なんでだよ?」


「じゃあそういうことで」


 というわけで、今日は「いもうと」が泊まることになった。


 手狭なアパートにご主人様、いもうと、吾輩がいるとなかなかに窮屈である。


「おい、年頃の娘が裸で風呂から出てくるなよな」


「んー、兄妹なんだし別にいいじゃん? それにショーツははいてるし? あ、それともまさかお兄ちゃんってば義妹いもうとに欲情しちゃったりぃ? うわっ、やらしいんだぁ」


「はいはい、そうですね。それよりほら、まだ夜は結構冷えるんだからさ、風邪ひかないうちにさっさと服を着るんだぞ」


「もう、お兄ちゃんってばほんと素直じゃないんだから。こんな可愛い義妹のおっぱい見放題なのにさ。でもそういう優しいところは素敵だよ、お兄ちゃん♪」


 ……吾輩最近思うのだが、もしかして「いもうと」はご主人様のことを異性として憎からず想っているのでは――?


「あんまくっつくなって」


「いーじゃんべつに、減るもんでもないしー?」


 その後、「いもうと」の甘えっこお願いアタックによって一つのベッドで寝ることになったご主人様と「いもうと」だった。


 吾輩はというと、二人の間に何が起こってもいいように気を利かせると、そっと玄関に行って一人、丸くなったのだった。

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