『黒土（くろつち）に　レースひらりと　七変化（しちへんげ）』

季語／七変化（しちへんげ）

季節／仲夏（ちゅうか）

場所／近所の家の庭

時間／昼

捕捉・備考／

　『七変化（しちへんげ）』は『紫陽花（あじさい）』の別名。（花の色が数多く存在するため）

　黒土とは腐食した植物などが含まれた土で、植物を育てるのに適します。紫陽花は生命力が強いので別に専用の土などは要らないはずですが、黒土で丁寧に育てられたせいか、物凄く立派に育っていました。なんとも箱入り娘な感じがします。

　実は紫陽花は『刺繍花』（ししゅうばな）という別名も持ちます。ですので『レース』を入れました。そして、紫陽花の花の咲き方は他の花と違い、中央に普通花、縁（ふち）に装飾花をつけます。この装飾花を人でいうところのアクセサリーのように捉えると、なんともオシャレな花だなあと思います。

　あの紫陽花の形から『レース』ではなく、『フリル』でもいいかなと思いました。ただ今回は『刺繍花』としての紫陽花を見せたかったので。あとフリルだと少女っぽいですが、レースだと女性って感じがします。６月は（今はもうとっくに7月ですが）、ジューンブライドの季節でもありますし、レースの方が季節感があるかなとも思います。

　紫陽花ではなく七変化としたのは、女性の着る服や化粧によってさまざまな面を見せるところを紫陽花に重ねたかったからです。

　結構ふんだんに句意を盛り込みましたが、全部伝わったでしょうか？