第38話 闇の僕と光の女の子 十二
『えっ、そ、そんな…。』
僕は、その「事実」を知らされ、全く声が出ない。
「…田所さん、聞いてます?」
「は、はい…。」
僕はそう何とかお母さんに返す。
そして、
「分かりました。」
と言うのがその時の僕の精一杯であった。
とりあえず僕は美玲のお母さんとの通話を終える。
『そういえば美玲、僕と出会ってからずっと、体調が悪かったような…。
それは、僕のせいだった、ってことかな?
それは、僕の闇属性のせいだった、ってことなのかな?
そんなのあんまりだ。僕は今まで、この属性のせいで友達ができなかった。それが美玲と出会って、僕は人と関わることの大切さ、人の温かみを知った。
それなのに…、またこの闇属性に邪魔されるなんて!
いや、もはやそんな問題じゃない。僕の闇属性のせいで、美玲の命が危ないんだ。
僕は、美玲に幸せになって欲しい。絶対に、死んで欲しくなんかない。そして美玲が常に笑顔でいられるように、僕は頑張らないといけない…。』
そこまで考えた僕の結論は、すぐに頭の中から出て来た。
『そうだ。こうなったら、美玲と別れるしかない。
僕は闇属性で不幸になろうが、どうだっていい。そうだ。僕は自分の人生よりも、もっと大切なものを見つけたんだ!
僕は、誰よりも美玲のことが好きだ。そして、そんな美玲を守れるなら、こんな本望なことはない。
金輪際、美玲と逢うのは止めよう。そして、美玲の命が助かって、美玲が僕じゃない他の人と幸せになれるように…。
僕は、遠くから見守っていよう。』
そして、僕はベッドで寝ている美玲の所に戻る。
その後、僕は美玲に話しかける。
「あのさ美玲。」
「何?かずくん。」
「僕たち…、別れない?」
「えっ…、どうして?」
そこで僕は、さっき美玲のお母さんから電話があったこと、そして美玲の属性に関することなどを、全て話す。
そこで僕には、「美玲のことが嫌いになった。」と嘘をつく選択肢もあったが、それはできなかった。
なぜなら、それをしてしまうと今までの美玲との想い出が、全て否定されるような気がしたからだ。
それを聞いた美玲は、微笑を浮かべる。
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことって…。
これは、美玲の命に関わることだよ。」
「大丈夫。私は死なないよ。
だって私、こんなにもかずくんのことが好きなんだから。」
「いやでも僕は闇属性を持っていて、美鈴のお母さんが言うには、それが美玲の光属性を奪いとって、それで…、」
「その話には続きがあるんだ。
確かに、闇属性を持った人が普通の友達なら、私は命を落とすかもしれない。それは知ってる。
でもねかずくん、その人、闇属性を持った人が自分の本当に好きな人、なら…。
私は死なないよ。ただ、
『私の中の、私とその人との記憶』が、消えちゃうだけだから。」
「えっ…!?」
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