第5話 初めまして 2
そんなある日、一冊の本がいきなり読める様になった・・・。
うん。そんな上手い話しなんて無いよね?
夢でも見てんだろ?って思うよね。
・・・コレが嘘じゃ無いんだよ。
驚き過ぎてリアさんに話したら、私が魔力があるから読めるのではないか?と。
そう、私が読んでいたものは“魔導書”だったのだ。
通常、“魔導書”は魔力がある者が作成することが多い。
その為、魔力がある者は読める事が多いそうだ。
因みに、魔導書以外は全く読めなかった。
他の絵本や物語などは地道に文字を覚えて今では、簡単な本であれば読める様になった!
そうやって午前は絵本や物語等を読む時間に、午後は魔導書を読んで簡単な魔法を練習する様になった。
今では、初級編などはマスターした!
初級編とは主に“手から水を出す”とか“ちょっとした炎を出す”とかになる。
が、その後から上手くいかない。
単に言えば、初級は魔力を持っていれば誰でも使えるのだ。
そして、中級からは“精霊”との契約が必要となってくる。
ここで躓いた。
精霊との契約には、“腕輪”が必要になってくる。
ソレが無いと精霊と契約出来ない・・・。
なので、中級の魔導書が読めても魔法が使えないのだ。
実際には、魔力がある子供は学園に入学してそこで自分に合った腕輪を作り、精霊と契約をする事になるそうだ。
精霊にもランクがあるので、それなりの環境と監視下の下で契約を行うんだって。
その事を知ったのが先日。
そして今日はいつもと違った一日を迎えた。
今朝、朝食を持って来たリアは、何とも言えない表情をしていた。
それは、悲しいのか嬉しいのか、どちらとも言えない複雑な表情だった。
そんな表情を見た私はなんだか『嫌な一日になりそうだなって~』思いながら、リアの持って来てくれた朝食を食べた。
朝食を食べ終わってリアの話を聞こうとしたら、この部屋に新たな人が加わった。
その人は恭しく私に礼をして、ゼノスと名乗った。
ゼノスさんはこの屋敷の執事さんで、私のお父さんの使いで此処に来たそうだ。
そして、私は初めて部屋の外に出た。
それがちょっと前。
現在は、ゼノスさんに連れられて初お父さんと対面をしに向かって長い廊下を歩いている。
廊下には、高そうな絵や置物が等間隔で置いてある。
壊したりしたらとんでもない金額になりう・・・。
ゼノスさんは子供の私でも付いていける様に、ゆったりとした歩調で私を先導してくれていたが、やがて大きな扉の前で立ち止まった。
其処が、私のお父さんが居る部屋なのだろう。
私はその扉の前に立って扉を見つめた。
その扉は、今まで歩いて来た時に見たどの扉よりも大きくて、綺麗な装飾が施された扉だ。
「ここに旦那様がお見えです。心の準備はよろしいですか?」
「はい。お願いします」
私の返事で、ゼノスさんはノックをした。
「入れ」
短い返事を聞いたゼノスさんはゆっくりと扉を開いた。
ゆっくりと部屋に足を踏み入れる。
其処は書斎だ。
部屋の奥には大きい机がありその向こうには、大きな窓があって綺麗な庭が見える。
その窓の前に一人の男性が居た。
振り向いた男性でまず目に入ったのは、綺麗な黒髪だった。
あぁ、やっぱり私は異端児だったのだ。
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