第37話 防波堤

海が光を受けて、あちこちで輝く。

私はこのコンクリートの壁に座り君と話すのが毎日の楽しみだ。

「おーい」

防波堤の上にあなたを見つける。

焼けた肌、真っ黒な短髪に筋張った体は海の男そのものだった。

「お、また来たのか」

彼の綺麗に整理された歯は夏の日差しを受けて白く光っていた。

「お父さんの手伝い?」

彼は微笑して頷く。私は彼の隣に座り込みその横顔を眺める。


しばらく話したあと、彼はひょいと防波堤から降りた。

「そろそろ行かなきゃな」

「そうか、うん頑張って!」

彼はありがとうと言って走り出した。

その言葉は暖かかった。

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