名前のない物語は進み始める3

 少し考え込む。この話が本当だとして、本当にそんなことが起こるのだろうか、本当に見えないなんて事があるのだろうか。



 そういえば彼女は消えてしまうと言っていた。消えてしまう?見えなくなるだけなら消える、なんて表現はしないだろう。


「信じがたいが君の言っている事は理解した。それで消えるというのはどういうことだ?」


 「透けて見えるの、時々ね」


 幽霊かと、そう言いたくなった


「まるで幽霊とでも言いたげな顔ね」


 心を読まれた。


「あなた、分かりやすいわね。考えてる事が顔に出てるわよ?」


 どうして年下の女の子にまでからかわれるのだろうか。まあそれはいい。


「それで、俺は君に何をすればいいんだ?」


 それが今、一番の問題だ


「何を、と言われても困るわね。あなたがこれを解決出来る、と言うなら別だけれど、出来ないでしょう?」


 どこか偉そうだった。


「そうか、なら雨が止んだら出ていってくれ、君が中学生でも高校生でも、うちに居られるとまずいからな」


 そう言うと少女は泣きそうな表情を浮かべて


「今私の事が見えるのはあなただけなの、たとえあなたに何も出来なくても見えるのはあなただけ、この意味、分かってくれるかしら」

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