名前のない物語の始まり2

「それで?いつ私をお嫁にしてくれるの?」


「飯が美味いんだから嫁にもらってくれる奴なんていっぱい居るだろう」


 朝ご飯を二人で食べながらいつもと同じ会話をする。食べ終わる頃には時計は七時過ぎを示していた。


「私はもう行くからね、二度寝したらダメだよ」


 蓮は遠方の学校に通っている。その為俺よりも一時間は早く出る必要がある。


「気を付けてな、痴漢がいたら刺すんじゃなく駅員につき出すんだぞ」


 最近は何かと物騒だ。だからといって女性の過剰防衛を見過ごすほど間抜けでは無い。


「はいはい、君も刺されたりしないようにね」


 一言言い返してから蓮は扉を開け駅へと向かっていった。


 さて、準備を進めるか。

 立ち上がり着替えに向かう。ご丁寧にベットの隣には今日着るのであろうコーデが揃えてあった。青のTシャツに薄手のパーカー、ジーンズ。アイツが揃えなくても大体はこれに近い格好をしている。


 服を着替え時計を見る。まだ三十分以上の余裕があった。


 ふと昨日リリースの新作ゲームがあったことを思い出した。


 スマホを手に取りアプリをダウンロードする。それにしても便利になった、ゲームは買いに行く必要すらなく。簡単なものならお金もかけずに遊ぶことが出来る。もっと先には何が起こるんだろうか。


 そんな事を考えていた。考えていただけのはずだったのに

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