君のいない世界には
@kulk_
プロローグ
その日は雨が降っていた。
大雨という訳でもなく、かと言って小雨でもない。
人が一人、傘もささずに歩いている。
高校生くらいの女の子だ。
皆がその子のことを見えないように振る舞う。
まるで存在しないかのように。この世に居てはいけないもののように。
彼女は助けを求めている様に見えた。少なくとも俺にはそう見えた。
だから俺は、手を差し伸べた。
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