クラスメイトをトレードするのはきっと間違っている②
「えっとじゃぁ、パトロン会議を始めるけどみんないる?」
そう言い、先生は保健室に入ってきた。
みんないることを確認して、先生は本日の議題を出す。
「今回の議題はトレードに関してです!みんな知っての通り、我が校では5月に入ると自分のクラスをより良いものとするため、生徒のトレードが可能となります!昨日、慧から早速トレードをしたいという話が出ました。トレード相手は3組の春埼夜空。2組から出すのは無所属チームからという話です!」
「ちょっと待ってよ!」
「なに…光?」
「それだと、三谷のとこが1人増えるじゃないか!それだとうちが損するじゃないか!」
確かにそうだ…どこのチームに属さない人を引き換えに僕のチームは1人得る。これは逆の立場だったら、僕も反対しているだろう…
「先生…とりあえず…中学の時の内申書とか…もらえたりしますか?」
「玲奈、それよりもっといいのがあるから後であげる!」
「そうですか…ありがとうございます!」
「じゃぁ、とりあえず…クラスで多数決してみる?まぁ、結果はみえてるだろうけど…」
結果は反対になる。藤咲光は確実に反対に入れてくる。そうなるとクラスの多数決は意味が無い。ただ、クラスの意見をみるにはいいんじゃないだろうか…
そうして朝礼でクラス投票が行われることとなった。
クラス投票の仕方はまず氏名を記入する。
このトレードに『賛成』か『反対』の欄に丸をつける。
そしてトレードして欲しいかという欄があり、そこに『はい』か『いいえ』に丸をつけるだけ。
ここで『はい』と選んだ人は今後のトレードされる可能性が高くなる。
放課後に結果が出たので、また会議を開いた。
結果は13対22で反対となった。
「今回は反対となりました!それと君たちにこれを」
そう言って先生はファイルを1人1つ渡した。
中を見てみると、生徒の名前と評価がSS〜Eでつけられていた。
自分の評価が気になって見てみる。
[三谷慧]
学力B
運動力B
判断力B
問題解決能力C
リーダーシップB
社会適応力A
信頼度80
自分でいうのもなんだが、まぁまぁいい方だと思う。
そう思い、他のチームメイトの評価も見てみる。
[岡林真吾]
学力B
運動力SS
判断力A
問題解決能力B
リーダーシップC
社会適応力A
信頼度95
さすがは元サッカー部で何校からかスカウトされたのにいかなかっただけはある!
[清水渉]
学力E
運動力C
判断力E
問題解決能力D
リーダーシップC
社会適応力B
信頼度25
平均より少し下くらいなのだろうか…先生が言うには社会適応力は普通に生きていればBぐらいになるらしいが…他が低い気がする…それに部活に入っていればB以上はあるらしいが、Cということは中学で部活に入っていなかったのだろう…それに学力下から数えた方がはやいということだろう…
春埼に関しては2枚あった。
[春埼明空](1人Ver.)
学力B
運動力C
判断力D
問題解決能力E
リーダーシップE
社会適応力C
信頼度15
[春埼明空](2人Ver.)
学力A
運動力B
判断力A
問題解決能力B
リーダーシップC
社会適応力A
信頼度95
ようするに、春埼明空は春埼夜空と一緒じゃないと意味がないということだろう…これは何としても春埼夜空をトレードで手に入れなければならない…
[三浦七海]
学力D
運動力S
判断力D
問題解決能力C
リーダーシップC
社会適応力C
信頼度50
社会適応力が低いのはやはりKYだからなのだろうか…運動力はSなので期待ができるが、学力Dはどのレベルなのか気になるところだ…
[嶺井愛]
学力D
運動力A
判断力C
問題解決能力C
リーダーシップB
社会適応力A
信頼度80
愛が学力DということはEはどれだけ低いのだろうか…心配になる。
[弥武玲音]
学力C
運動力A
判断力D
問題解決能力E
リーダーシップE
社会適応力C
信頼度55
[弥武玲奈]
学力C
運動力E
判断力A
問題解決能力B
リーダーシップB
社会適応力A
信頼度75
双子は似ていると思ったが、学力以外は全然違う…玲音は直感で動いてしまうタイプで、玲奈は慎重にするタイプだということがこれを見てわかる…
先生は1つ咳払いをして話を始めた。
「これをみて、どうするか決めてね!ちなみにこれは外に持ち出すことは禁止だから!そこのとこは注意してね!」
そう言って部屋から出ていった。
「私は春埼夜空をトレードで獲得してもいいと思う」
敵の立花優がそう言うとは思ってもいなかった。
「ほんとにいいのか?」
「うん!だってその方が2年生の時に戦いやすくなるでしょ!」
「これで4対1だが、どうするんですか藤咲さん?」
「もし、それを承諾したとしてだ…誰をトレードに出すんだよ?」
今回のアンケートで『トレードして欲しいか?』という欄に『はい』と答えたやつはいなかった。
「評価の低い人でいいんじゃないの?だって、ほら相手は情報を得ていないわけじゃない、そうなるといらない人をトレードできるっていいと思わない?」
「でも春埼夜空のパトロンは春埼夜空の評価を知ってるわけだろ?そんな上手くいくわけないだろ!」
「それは分からない…先生が出した理由は玲奈が出してって頼んだからかもしれないし…」
先程からずっと黙っていた、春埼がそう言った。
「とりあえず、出してみるだけ出してみるのはどうだろう?」
「あぁ、その代わり相手はこっちで決めさせろよ!」
「無所属チームからだったら誰でもいい!」
春埼夜空をトレードで獲得するために動き始めた。
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