8章:不憫な桃太郎
\アッカリ●ン/
「ふぅ。」
桃太郎は一息ついた。
というか、粗方片がついた。
「グゾォ……負けたぁー!」
「痛ぇ……」
「あぁー!全く、歯が立たんかったなぁ。」
「ははは、完敗じゃぁ!桃太郎!お主は強かった!」
彼の周囲には血だらけの鬼が何人も転がり、呻いていた。
しかし、誰も彼も負けて血だらけながら満足そうだった。
「悔しくないの?殺す殺す言ってて。」
「?別に、あんなモン挨拶みたいなもんじゃろ?」
どうも鬼と人間の価値観は違うようだ。
竹を割ったような性格。今正に刀を向けられ返り討ちにしたというのに全く、怨恨だ復讐だという感じがしない。
なんだ?この鬼の想像と実像の乖離は?
あれ?そういえば、
「…………え?僕これだけ?」
あの後、金太郎が相撲取ったり浦島が時の世界に入門している間に着実に鬼の皮膚を浅く切りつけ、確実に痛みでダウンを取っていた。
誰も死んでいないし、おそらく退治した鬼の数は一番多い。一体多数で頑張って見どころ多かったのに………。なのに。
なのに、チャンチャンバラバラが終わっている?
「もう終わり?カット!?僕の見せ場は?」
作者の趣味でカットされた。
理由は『桃太郎が不憫な方が楽しいから』だ。
「ねぇ、ちょっと、あんまりだよね?そんな理由でカット?スキップ?『桃太郎無双』はやんないの!?」
え、ちょ、ねぇ、嘘だよね
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