デミウルゴスのんびり物語
きりんじ
デミウルゴスと幼女
至高の御方アインズは玉座の間で、皆に伝える。
「すこし最近は人を殺し過ぎだな・・・うん、今月は人間を殺さない事、攫ってこない事を命じる!!」
突然ナザリックに、「下等生物の保護月間」が始まった。
デミウルゴスは、偵察のため街を訪れていた。
(きっと至高の御方は二手も三手も先の事を考えての発言だと思いますが、殺せないとなると実験の幅が狭くなりますね・・・)
今日デミウルゴスが街を訪ねたのには理由があった。
____人を攫わずに、人間観察をするために___
街を歩いていると、突然袖を引っ張られた。
デミウルゴスが振り向くとそこには、涙を流している小さい幼女がいた。
見た目は4歳くらいで金髪で三つ編みをしていた。また服装は装飾が豪華で、ピンク色のワンピースを着ていたので、どこかの貴族の娘ではないかと普通の人間なら思うだろう。
デミウルゴスは立ったまま、幼女と目線をを合わせる
「やれやれ、何でしょうか?」
話しかけると、女の子は更に泣き出した。
「おかあさーん!!おかあさんはどこなのー!!」
「そんな人間の事なんて知りませんよ。私から離れてください」
デミウルゴスは女の子の乱暴に手を払った。
また女の子は騒いで、デミウルゴスにくっついた。
「おかあさんがいないのー!!うわーん!!」
自分から離れるように離したはずなのに、もう自分の後ろにいた。
(支配の呪言を使えば簡単ですが、今日は騒ぎを起こさずに人間観察をしたいですからね・・・)
とりあえず泣いている女の子に話しかける。
「しょうがありませんね、一緒に人間の親を探してあげましょう。見返りは・・・また後で考えましょう。」
デミウルゴスはこれも実験の一環として、女の子のお母さん探しをすることにした。
子供を攫ってその後、親に会わせると人間はどのくらい喜ぶのか?
家族に会わせると言って、金品を要求するとどのぐらい差し出せるのか?
人間は家族というものに対して、どのくらい重要度を置いてるのか?
デミウルゴスは、人間では当たり前すぎてあまり考えない(家族)というものに対しての考察を考えていた。
________全然離れてくれない下等生物から離れるためと観察のために、幼女の母親を探すことになったデミウルゴス。
そして街中を歩く二人は、まったく親子にも兄弟にも友人にも見えなかった。
捜索中に溜息しか出ないデミウルゴスは、とてもイライラしていた。
「はあ・・・小さき人間よ、この状態は一体どういうつもりか、お聞かせ願えるかな?」
しかし、幼女は「おきかせ?それなあに?」とデミウルゴスの放った言葉の意味が分からないようだった。
また溜息をしたデミウルゴスは、無理だと思いながら幼女に伝える。
「まったく、私は人間ごときのために働きたくないのですが、見返りを頂けるのでしょうね?」
幼女はキャッキャと笑いながら、デミウルゴスを見つめる。
「みかえりって、カエルさん?私はカエルさんが大好きなの~!!」
やはりデミウルゴスの話は通じなかった。
やれやれとデミウルゴスは、話の通じない幼女をどこかへ捨てることにした。
「もう話が通じないなら見返りも期待できませんし、こんなに体が小さいと羊皮紙にする意味もありませんし、どこかに捨ててきましょう」
そして、幼女の手を引っ張って、あるバーの中に入った。
(ここならとりあえずこの人間は死なないでしょうし、暗いから捨てても見つかりにくいでしょうかね・・・)
デミウルゴスはアインズ様の「下等生物の保護月間」を守るために、幼女の捨て場所をバーに決めたのだった。
そのバーの店内は薄暗い照明だが、決して怪しい雰囲気ではなく、
どこか落ち着ける純喫茶の雰囲気があった
(この異世界で純喫茶を知っている人物はいないと思うが・・)
デミウルゴスは、店内に入ると幼女を椅子に座らせて話す。
「はい、では貴方はここにいてくださいね。私はもうあなたと話す意味を見出せません。さようなら。」
と、幼女を置いて出口へ向かうと、幼女は泣き出した。
「うわーん、お母さーん!!うわあああああん」
バーには、沢山のお客さんと従業員数名、バーのママがいた。
バーのママは恰幅が良くこんがりと焼けた小麦色の肌で、青色に染めた毛色のアフロのようなパーマの見た目だった。また楽しくおしゃべりが出来ると評判で、ママさんと話したくて来店するお客様が多い。
賑やかな店内であまり聞かない子供の泣き声を聞いたバーのママが、声の出所を探すと入り口近くの椅子にその子は座っていた。
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