安定の賢者と騎士団長
賢者の塔に足音が響く。
足音はとても乱れ、慌てていた。
足音の正体。
「タツミンさん‼」
我らがシモン騎士団長だった。
「ターツーミーンーさん!!」
ドン
扉を開ける。
「シモン君。いらっしゃい。」
「モグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグ(どうも、お邪魔しています)」
賢者とおやつ中のアクラギアスが迎える。
「いらっしゃい。じゃないですよ!!
あなたでしょう!!悪魔を召喚した犯人は!」
「はっはっはー。素晴らしい想像力だ。
それだけあれば君は小説家になれるよ。
が、犯人を追い詰めるなら証拠くらい出すんだね。」
笑いながらそう言う。
「目の前に居ますよ動く証拠が!!」
そう言ってクッキーを予備動作無しで口に入れて幸せそうにする中性的人物を指差す。
「悪魔の召喚。しかも、かなり上位の悪魔が召喚されたと聞いて、嫌な予感がしたら的中ですよ!」 「流石シモン君。冴えてる。」
「……タツミンさん、またトンでもなくロクでもないものを作ったでしょう。」…………目が笑っていない。
「トンでもないもの?」
「トンでもなくロクでもないものです。
今なら自首扱いにします。」
怒ってる。
「別にそんなもの……………」
「モグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグモグモグもぐもぐモグモグ(それって、主が私を呼ぶのに使った剣の事ですか?)」
タツミンの表情が凍りつく。
「剣?」
シモンの目が光る。
「モグモグモグモグもぐもぐモグモグ(えぇ、4人の冒険者に血を対価に悪魔を召喚する剣を…)」
「渡したんですか!?」
「モグモグモグモグモグモグもぐもぐ(いいえ。人間には扱えないという事で遠慮していましたよ。)」
「で?その魔剣は?」
「あー……………」
「これですね。」
そう言ってシモンは迷い無く魔剣ブラッドブリードを掴む。
「えぇ…………」
「効果。教えて下さいますよね?」
無言の圧。
賢者をも圧倒する騎士団長。
恐るべし。騎士団長。
「え……それは……自分の血を剣に吸わせて、それを対価に悪魔を召喚する魔剣……………………デス。」
「血液………………一体どれだけ必要なんですか?」
「召喚する悪魔の格に依りけり。
最低30ℓ。」
「封印決定です!」
「えー!」
「『えー』じゃありません。
そんな魔剣。もし誰か悪党の手に渡ったらどうするんですか?
各地から人を攫って人の血を集めて強大な悪魔を召喚する。なんてことに成るでしょう!」
「甘いわ、シモン君。
今回はそんな事を言われるだろうと思って同一の人間からしか、しかも、鮮血しか召喚に使えない様に細工をしておいたわ。
これで一人の人間からしか血を賄えないわ。如何?賢者だってまだ進化するのよ?」
「それ…………結局使おうとした人間が死ぬでしょう⁉
どうやって血液30ℓが人間の身体から出てくるんです?」
「?
普通に肉体を活性化させて血を大量に作ればいいでしょ?」
「それが出来るのはタツミンさんだけです‼
封印決定!」
「酷いわシモン君‼殺生よ!」
いつもの風景。しかし、忘れてはいないだろうか?
今回出てきた魔剣は2本。
そのうち一つはここに有り、もう一つは。
それを、騎士団長のシモンは見落とすだろうか?
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