ゴーレムVS勇者に成りたいパーティー11

 ジョゴローを吹き飛ばした犯人。それは再生を終えたゴーレムだった。


 いつもなら、再生完了を知らずとも、他の三人が教えてくれた。


 しかし、今回は雨で視界が悪く、音も掻き消され、何よりチームワークが無かった。








 それが敗因だった。








 「げて………レイ………」


 「………さン……だ…い!」








 向うから走って来る影が見える。


 それ以上に目の前に迫るゴーレムが見える。




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




 拳を天高く………暗雲へと突き上げる。


 終わった。


 頭に血が昇って勝手に暴走。最期は身勝手の報いで石人形に潰されるんだ。


 あぁあ。俺、馬鹿だな。














 体は動かない。


 石の拳が迫って来る。


 走馬燈が目の前を征く。








 嗚呼、もっと冒険がしたかったなぁ。










 「ブレイィ!」


 「ブレイさぁん!」


 駆け寄る二人は間に合わず、ブレイの頭上に無機の拳が振り下ろされる。








 カッ‼


 パァン!








 閃光と爆音がその場に居た者の眼を閉じた。


















































 その場の誰もが眼を開けたくなかった。


 しかし、そうも言っていられない。


 次に彼の様な結末を迎えるのは自分かもしれないからだ。


 恐る恐る眼を開けた。


























 そこには全身から煙を上げ、暗雲に拳を掲げたままのゴーレムと無傷とは言えないが、生きているブレイが居た。








 その場の全員が何が起こったか解らなかったが、好機であった。


 ゴーレムが煙を上げながら固まっていた。静止していた。




 「マリッシアさん、今です!」


 「ブレイ!逃げるわよ!」


 「あ……ぁぁ。」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ブレイに駆け付ける寸前でゴーレムが再起動を始めた。


 振り下ろされる拳。


 一難去ってまた一難。今度こそ駄目だ。








 「ホォ、ワシを忘れるな。」


吹き飛ばされていたジョゴローが凄まじいスピードで距離を詰め、ブレイをかっ拐うと闘技場の外へと逃げていった。














拳を降り下ろし損ねたゴーレムだけがそこに残った。






























3日目も大敗北。


死と隣り合わせの大敗北を喫した。






























「ブレイ?」


濡れ鼠のまま近くにあった洞窟内で反省会を始める。


「ゴメンナサイ…」


蚊の鳴くような声で謝る。


「……………………」


睨み付けたまま何も言わないマリッシア。


「ブレイさん、多分、そういうことでは有りませんよ。」


テポンがフォローを入れる。


「?」


「ホォー…、もしかして、マリッシアちゃん…『何で何も相談しなかったの?水臭い。』と言いた………スイマセン」


ジョゴローが止まった。


マリッシアの気迫に負けた。






「勝手に突っ込んで、皆を危険に晒して、危うく死ぬところだったのは後でちゃんと怒ります。」


淡々と言うが、怒りが静かに溢れ出ている。


「問題は、なんでそんなことになったか。


問題はそこです。」




パチパチパチパチパチパチ


焚き火が燃える。


マリッシアの瞳の中で燃える。


「もし、ブレイがその事をちゃんと言ってくれたら、考えようが有りました。」


「イヤ、皆の足を引っ張るのは………」


「そこが問題なの!!」




パチンッ




薪が弾けた。




「誰が足を引っ張ったって言ったの?


誰がブレイが悪いって言ったの?


誰がブレイは弱いって言ったの?」


「イヤ………それは…………。」


「私だって魔法を何度も挑戦させて貰って、それで丸一日潰して、その挙げ句成果無し。


ブレイより私の方が皆に迷惑掛けてるわ!!」


「チガウ…………」


「違わない!


私が攻撃に参加できればもしかしたら勝てるのかもしれない!」 「チガウ………」


「違わない!!」


「違う!マリッシアは全力でやってくれてる!!


前衛二人を考えて、これなら勝てるのかもしれないと考えて、


いつも皆を引っ張っている!


マリッシアといえど、マリッシアを侮辱するな!!」






パチパチパチパチ


焚き火は燃える。






「同じよ。自分を弱いとか足を引っ張るとか、言わないで!!」


















またしても焚き火の音だけが洞穴に響く。


















「ブレイさん、僕達は4人で一組です。


もし、勝てないのなら、それは僕達皆のせいです。」


「ホォ、そうじゃそうじゃ。


それに、足引っ張ったらそん時ゃ言うし。


そもそもブレイ。オンシは引っ張らないで振り回すじゃろぅ?」 「ハハハ。ジョゴローさんの言う通り。」






少しずつ、いつもが戻ってきた。






「だからさ、ブレイ。


一緒に考えよう。


一緒に強くなろう?


皆で。」




























































「あぁ。」


































3日目。完全敗北。


しかし、このパーティーはこの日、更なる強さを手に入れた。






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