黄泉の山のハデシウム2
『黄泉の山』
名前のように巨大な岩山である。しかし、この山。火山ではない。
太古の生物の甲殻とも、地殻変動で地表に現れた岩盤とも、隕石のクレーターとも言われているが、兎に角、鉱物塊である。らしい。
『らしい』というのも、その真偽は全ての禁忌領域に言えることだが、調査困難故にルーツや詳細部分に謎が多い。
ただ、一つ言えるのは、この山においては噴火は起こらないし、マグマもない。
しかし、それでも山頂は煙を吐き、山肌を煙で覆う。
「全く、イヤね。」
山頂付近に降り立つ賢者。
『断絶の障壁』と『ワープゲート』の同時使用で完全防御である。
しかし、この煙。無害ではないにしても、他の禁忌領域の毒に比べると話に成らない程弱い。
「わっ。
イヤね。やっぱり。」
そう言って地面に恨めしい目を向ける。
そこにはマグマが流れていた。 ドス黒く、ドロリとした、炭化した水飴のような液体が山をドロリ、ズルリと、生き物が這うようにゆっくりゆっくりと流れていた。
何度も言おう。この山は火山ではない。
噴火はしないしマグマは有る訳がない。
では、賢者の足元を流れるこのマグマは何なのか?
正解は賢者の目の前に広がっていた。
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