ゴウテツの望み

 「それで、冒険者のゴウテツさん?あなたは何をしにここに来たのかしら?」


 階段も無い、石畳のような地面しかない殺風景な塔だと思っていたら、いつの間にか体が浮き上がり、塔の上部に移動していた。




 さっき大賢者が上から来たのはそういう理由か。




 そんなことを考えている内に応接室のような、工房のような、不思議な場所に案内された。


 赤を基調とした椅子。


 某とは不釣り合いな、お洒落なテーブル。


 その上には小人のような、妖精のような人形のような生き物がいて、その生き物がお茶とお茶菓子を用意していた。


 「ありがとう。」


 そんな様子を見ている内に椅子が勝手に動き出し、某を椅子に座らせ、大賢者と某をテーブルに着かせ、あっという間にティータイムが始まった。








 アレ?ソレガシ、ナニSINIKITANDAKKE?


 あぁ、そうだ。


 「大賢者殿。お尋ねして良いでしょうか?」


 「なぁに?」


 大きな、邪気の無い大きな瞳がこちらをじぃっと見る。


 「某、市井にて『大賢者殿が魔剣を創った。』という話をお聞きしたのですが、それは真でございましょうか?」


 「あぁ、魔剣ね。えぇ、さっき新しいのを作ったばかりよ。」


 即答。


 そこらの刀鍛冶だってもう少し大変そうに普通の刀を創るものだ。


 それを、「あぁ、魔剣ね。だと。」?


 賢者はどうも自分達と違うと思っていた。


 今まであった賢者は常識が無いと感じた。某にも常識は無い。が、常識外れと感じた。


 しかし、目の前の大賢者はそれを越えている。


 が、


 しかし、


 それは丁度良かったのだろう。


 目的が某には有る。






 「大賢者殿。」


 「タツミンで良いわ。」


 「では、タツミン殿。折り入って願いが有ります。」


 「何かしら?」


 「是非、某に………魔剣を譲っていただけないでしょうか?」


 「いいわ。どれにする?どれでも持って行きなさい。」


 ……………………………………………………………………………………………………………………いやにあっさり。


 貰う気満々ではあったんだが、ここまでアッサリとは。


 てっきり魔剣を欲しければ龍の一匹二匹倒せ。とでも言われると思っていた。


 どれでも持って行きなさい?


 裏でもあるのでは?


 「別にヤバい対価を要求する。なんて事は無いわ。どうせ趣味で作ったものだし。」


 趣味………。


 趣味………かぁ……………。


 計り知れんな。大賢者。


 「ね、見てみてよ。」


 そう言って某の手を取る。強く引かれ、別の部屋に引っぱって行かれる。


 その顔は美しくもあどけない、子どもの様だった。




>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>読んで下さる皆様へ

いつも読んで頂き有り難う御座います。

単刀直入ですが、もし、良ければ感想やフォロー等のフィードバックを頂いたり、他作もご覧になって下さい。お願いします。

ここが良かった。ここは少しこうした方が良いなどの改善点等が有りましたら是非お教えください。お願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る