第202話 新学期が始まって
夏休みはわりとあっさり終わってしまった気がする。
半分以上は合宿。
残りはほぼ研究室でジェットエンジンと飛行機の研究。
気が付けばもう夏休み終わりという感じだ。
何もなかったかといえばそんな事はないのだけれど。
前半の合宿だけでも充分過ぎる位色々な事があったし。
初日は始業式とホームルームだけ。
だからお昼前には終わり研究室へと集まる事になる。
今日は昼食が無いので全員が研究室へ集合。
昼食を食べてからトレーニングなり制作なり研究なりする訳だ。
なお今日の昼食は昨日ナカさんが作って冷蔵庫に入れていたものが中心。
中身は豚肉冷製ゼリー寄せ風、冷たいスープにサラダ、バゲット風パンである。
食べながら軽く雑談。
「今年の学園祭は気球と生活便利用品色々でいいのかな」
「今とっておきを私とユキ、シモンさんとで作っていますのよ。もう少しで完成しますので楽しみにしていて下さいな」
アニメの方は順調なようだ。
「ミタキの方はどう?」
「模型の飛行機がもう少しで完成かな。完成したら晴れた風の無い日を狙って試験飛行をしてみたい」
あとは身体強化組とフールイ先輩だ。
「済まない。私の方は個人的な研究。学園祭に出せるものではない。でもどうしても調べたい」
フールイ先輩はそう言って頭を下げる。
「それはかまわないと思いますわ。ここの目的は元々学園祭に出すための研究ではないですから」
更にヨーコ先輩とシンハ君も頭を下げる。
「ごめん。私達はまあ当日その他手伝うからさ」
「いないと大変だというのは以前よくわかったから大丈夫ですわ」
アキナ先輩の台詞に俺とシモンさん、ミド・リーがうんうんと頷く。
春休みのガラス材料事件の事を思い出しているのだろう。
「あれ、何かあったかな」
「ヨーコさんとシンハ君はお気付きにならなかったですけれどね」
「ちょっと春休みにね。まあ聞かなくていいと思うよ」
まあその辺は……という事で。
実は学園祭でちょっと試したい事が他にもある。
でもここの面子は当日結構忙しいだろう。
展示や実演が色々あるし。
クラスメイトのミササ君から文芸部として依頼があったから奴らに回しておこう。
奴らは文献に詳しく凝り性が多いからいい結果になるかもしれない。
成果はこっそり学園祭の現場で試させてもらおう。
それにしてもフールイ先輩は何をやっているのだろう。
あの移動魔法の魔道具で何かやっているのは確かなようだけれど。
そうだ、それならば。
「何ならフールイ先輩、移動魔法用の魔法杖、大型のものを作りましょうか。自分が移動するのでなければ大きい方が魔力を増幅してくれますし指向性も高いですから」
先輩ははっ、とした顔をして俺の方を見る。
「頼む。強力なのが欲しい。もし費用がかかるなら私がここで貯めた分を全部使っていい」
「研究に使う分の資材は無料ですよ、ここは」
俺も自分の興味の為に結構色々使っているし。
「何なら僕も手伝おうか。杖の基本の長さがわかれば多分僕の方が作るのに慣れていると思うよ」
確かにそうだ。
「なら頼む。どうせなら
「わかった。ならこれを食べたら早速作ってみようよ」
「だな」
シモンさんが手伝ってくれるなら出来たも同然だ。
「済まない」
「いいんですよ。これでまた新たな発見が出来るかもしれないしさ」
「そうそう。ここは元々自分の興味だの私欲だので物を作るところだし」
「そういえばスキンケアグッズなんてそうだよね」
「あれはこの研究室を貰う前だけれどな」
確かにそうだ。
でもフールイ先輩はあの魔道具で何をしようとしているのだろう。
過去を見るとか前に言っていたけれど、原油を見つけたりもしたし。
ただその辺はこちらから聞かない方がいいような感じがした。
この場でも誰もあえて何をしているか聞かなかったし。
多分フールイ先輩にとっては重要な事なのだろう。
それだけわかれば今はいいかなと俺は思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます