占い屋さんの屋のあさきさん

【四コマ漫画風小説 占い屋さんの屋のあさきさん】


     1

 制服姿の、カズミとアサキ。

 アサキの制服は裂けて汚れてズタボロになっており、しかも下半身はジャージである。


「よ、よおし、今度はっ、わたしが占っちゃうからねーーっ」


 逆転の発想だあ!


 アサキは、泣き腫らしてクマの出来た顔を歪め、にやりと笑みを浮かべた。片手には、占いページを開いた雑誌を持ってる。


 その視線を受け、青ざめた表情でじりじり後ずさるカズミ。


「や、やめろ、よせっ、あたしが悪かったっ! どこが悪いのかは分からんけど分かったからっ、謝るから!」


     2

「嫌だよおだ。えーっとお、確かカズミちゃんの星座はあ……はうっ!」


 ぞどっ!

 と、ギザトゲ文字の凄い音がして、アサキのお腹に集中線ド直球で、なにかが深々とめり込んでいた。

 野球のボールである。


     3

「ぎゃっ!」


 という絶叫に、脚立で作業していたおじさんが、


「うわっ!」


 驚いてバケツを落として、アサキの頭にペンキがドバーッ! バケツがガン!


     4

「カズミちゃん酷いやあああああ!」

「知るかーーーっ!」


 お前の運だろっ!


 地面にぺたーんと座り込んで、うえっ、うえっ、と大泣きしているアサキ。

 頭にはタンコブ、全身はペンキまみれ。

 なぜかジャージのズボンが膝まで降りてパンツ丸出しになっており、そのみっともなさがなんとも憐れみを誘うのであった。


     ― 完 ―

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