魔法使いのあさきさん

【四コマ漫画風小説 魔法使いのあさきさん】


     1

 生徒がちらほらと残っている、放課後の教室。

 黒板の前にアサキが立っており、カズミたちが見ている前で身振り手振り何かやっている。


「えーーーっ、ナルハそんなこといわないよお」

「いや、たまにゆうとるじゃろ」



     2

「では次いきまーっす! せいちゃんの真似えーっ。……わたくし、今日のお香水はズルガリなんですのお。庶民のみなさまお気付きになってえ?」


 おーっほっほっほ、手の甲を口に当てて高笑い。


「凄まじく似てねえええ!」


 手を打って大爆笑しているカズミ。……の横では、正香が青ざめた顔で、


「アサキさんにとっての、わたくしの人物像がそれですか。そうですか……」


 そもそもズルガリではなくブルガリですけど、とかなんとか呟きながら、ぷるぷる身体を震わせている。



     3

はるちゃんの真似えーっ。じゃろってなんじゃろー」


「公共なんとかの回し者かお前はーっ」


 突っ込み入れるカズミ。


「でもさっ、声質はちょっと似てるかもお」


 楽しげな顔で見ているなる


「似とらんわ!」


 声を荒らげて不満そうな治奈。


     4

「最後はカズミちゃん! アサキ、無事で良かった! ……だってオレっ、本当は誰よりお前のこと大切に……」


「こうやって猛獣を懐かせようとしとるわけじゃな」

「地道な努力が健気すぎて泣けるよお」


 腕組みしてうんうん頷く治奈と、泣き真似している成葉、それと……


「つうかあたし、オレなんていったことねえんだけど」


 拳をぎゅっと握って怒りに身体をプルプルさせているカズミ。



     ― 完 ―

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