魔法使いのかずみさん

【四コマ漫画風小説 魔法使いのかずみさん】


     1

 帰り道の公園。


「よよっよあけのっ、そっ空がっ、ああっあかねろのこどもを、ま、ま、まとてっ」


 顔を真っ赤にしながら、アサキが一生懸命よく分からない言葉を発している。

 手前で、カズミと治奈が小声で話している。


「あいつ、なにやってんだ?」

「発表会の練習で恥ずかしい思いしないよう、練習の練習をしてるんじゃと」



     2

「アサキい、人に見られていると思うから緊張するんだ。カボチャだと思えばいいんだよ」


「おーーーっ、なるほどっ。カズミちゃんもたまにはいいこというなあ」


 まさか初めてその言葉を聞いたのか、ぽんと手を打って感心しているアサキ。



     3


「夜明けの空が茜色の衣をまとって あの東の丘の露を踏みつつ越えて来る。……出来たあ! いえたよカズミちゃん!」


 大喜びするアサキであったが……



     4

「あたしがカボチャに見えるってかあああああ!」


 カズミの怒号。アッパーカットに、どーーーーんとアサキの身体は遥か遠くへぶっ飛ばされる。

 治奈と成葉が、青ざめた顔でぼそぼそ。


「横暴ここに極まれりじゃな」

「ナルハ、カズミちゃんと距離置こっと」



     ― 完 ―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る