第07話 姉の部屋を覗いてみれば……

「お姉ちゃあん、やっぱり違う漫画と交換してえ。最初は面白そうだと思ったんだけ……」


 ドアが開いた。

 そこにはあきらふみが、二冊の漫画本をそれぞれの手に持って立っている。


「あれえ……いま誰かと小声で電話してた気がしたんだけど……」


 しばらく口を半開きで、ぽかーんと間抜けな表情になっている史奈であったが、やがて首をぷるぷるっと振った。


「お姉ちゃん。……お姉ちゃん。どこお?」


 彼女のこの反応も無理はないだろう。


 姉の部屋の中から、こそこそっと声が聞こえていたというのに、ドアを開いてみれば、電話どころかそもそも誰の姿もなかったのだから。

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