第6話 知らぬが仏

見るものがすべて新しい


色々な物にあふ


まだ見たことのない沢山の世界



全てが


生きているだけで


楽しくてたまらない



いや


たまには嫌なこともあるけど


これから沢山のことが出来るようになるんだ


沢山のことを知ることができるんだ


そう


目に見えるもの


何もかもが楽しく思えた子供のころ



しかし


子供はいつか大人になる


大人になると


できることは増えているはずなのに


お金だってあの頃に比べれば信じられないくらい持っているのに


段々と


生きていることが窮屈になる



仕事ができるようになりたい


人に良く思われたい


そのためにたくさん勉強して


頑張って


沢山 頑張って


沢山 沢山 頑張って



でも


できることが増えるほど


知識が増えるほど


多くの人と触れ合うほど


自分が如何いかに至らない存在か


あの頃あんなにすごいと思えた大人が


如何に自分勝手で


周りの迷惑も考えず


悪いのは自分でなく世の中だ


悪いのはあいつのせいだ


自分の至らなさを何かのせいにして




しかし


気が付けば


自分も他人からはそう見られている



それでも


少しでも良くなりたいと


誰かの役に立ちたいと


勉強すればするほど


また自分の至らなさに気づかされ


更に周りの人の至らさに気が付く



そんなことならば


何も知らない子供のままで居られたらどれだけ幸せだったのだろうか


見るものすべてが新しい世界


二度と戻れない


記憶の中の世界

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