第2話 谷底の景色

光もほとんど届かない


豊かな緑もない


あるのは流れる水と幾らかの植物


上を見上がれば狭い空


そのはるか向こうには高い山が見える


ここから抜け出したくて


あの山の上の景色が見たくて


でも自分ではそこへ至ることはできない


ここは暗く空は狭い


いつも下ばかり見ている



ふと顔を上げて自分の周りをみてみた


流れる水はとてもきれいに澄んでいた


よく見ると小さな魚が懸命に泳いでいる


周りには可憐な花が咲いている


そうか


自分のこんなにもきれいな


色々なものに囲まれていたんだ


きっとあの山の上にたどり着けることない


きっとあの山の上の景色とは違うけれど


然しこの小さな世界にはこんなにもきれいなものにあふれている


ただ気が付かないだけ


観ようとしないだけ

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