「act End オレンジ」

「……おかしい」

「おかしいってなにがですか?」

「この世界には魔法という神秘が存在していて、その発生源は天使。しかも神というモノが未だに存在し人間界にここまでの影響力を与えてンだ。さらに今は二千百年というのにここには『西暦』っつゥ概念が存在してねェ」


「『セイレキ』? なんですかそれは」

「とある人物が生まれたってェ年を基準にした年の数え方だ。オレのいたとこではとっくに没しているはずなンだが、ところがどっこいココでは西の小さな村に『神の子』って呼ばれている賢者がいるって話じゃねェか」


「あぁ、それならぼくも聞いたことくらいはありますよ。『神の子』を名乗り信仰を集めてるとか」

「つまり生きている。それだけでもおかしな話だが、他にもこの世界にはアレイスターやらマーリンだの時代がぐっちゃぐちゃな人間ばかり居やがる」

「アレイスター先生がどうかしたんですか? たしかに変なひとだったけど根はいいひとでしたよ」


「近代においてもっとも有名な、アレイスター・クロウリー。オレも詳しくは知らない分野の話だったが名前ととんでもねェヘンタイ野郎だったってことしか知らねェ」

? 魔法使いとはちがうの?」

「オレだって詳しく知ってるわけじゃねェって言ったろォが。……まァ、そのうちわかることか。今わからねェことを今考えても仕方ねェ、か。オイ、作業の方はどうなってンだ」


「口をうごかしながらでも手はうごかせるんだよ。義手はまだだけど義足だけならもうちょっとで完成するよ」

「すげェな。オレなンて医学の知識はあっても工学の知識全くねェから結局チンプンカンプンってヤツだ。散歩なンてたまにはしてみるもンで、思わぬ収穫物があるってンだ」

「ふふっ、じゃあ報酬はいっぱいのオレンジかな」

「へっ、楽しみにしておけ」

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