13話 春奈ですが、異次元です、改築です、一本傘です。

春奈ですが、異次元です、改築です、一本傘です、


「ちょっと外行ってくるね」


「あ、うん」



そして、誰もいないところで



開けエーンド、オープン!!


ぽわわーん


……………… 入ってみるか、あの二人に敵意はあんまりなかった。頼朝公は完全に無かったね。罠ではない!


えいっ!


中に入ると、まさに異次元の壁といった壁で遮られた狭い空間が。

かまど用の石らしきものと、毛布2枚が2セットだけありました。

それと、変な機械。


ふーん?善意でもらったものだ、危険はないだろうしこの機械を触ってみよう。PDAを接触させる部分があるね。ほいっとな。


〈管理者の設定を行います。名前、若月春奈。二つ名、ゲロ吐き女。〉


おいいいそこは狐の加護を受けしものとか、そういうのだろう!?


〈管理者はお金を払うことでこの空間の拡張や施設の増設、バージョンアップをすることが出来ます。一覧はこの機械に記憶されているのでいつでもご覧になれます〉


ほう?じゃあ……検索、金鉱山。


〈金鉱山:1兆5000億円〉


はい無理ー。でも安いやつから始めれば、ゆくゆくはダンジョン鉱山ができそうだね。やらんだろうけど。他にはー……




調べたところ、牧草地帯から果樹園稲作に武器工房自動研ぎ機まで何でも揃ってました。

この狭い空間も拡張できるみたい。




この空間に食べ物を保管すれば深層攻略もできるのではないだろうか。かまど、湧き水、家、空間の拡張をメインに育てていこう。


凄いものをもらってしまったなあ。感謝しないと。どこに感謝すればいいのだろう。

たしか頼朝公は二荒山神社に祈願しているし、二荒山から連絡してもらおうかな。


あ、油揚げ祭壇も作って置かなければ。えーと、0円かい!どんだけほしいんだよ青狐様。とりあえず空間ギリギリのところに配置。


配置に関しては自由に設置再設置ができるようです。


湧き水はー500万か。防具修復するからちょっと無理だな。


寝袋からはー、テント付きになるね、300万。無理。


かまどは、とろ火が常についている状態になる。これはいいな、200万。節約すれば手が届くぞ。



つーか、全体的に高い!!油揚げが以上に安かっただけだ!


一旦外に出て、戻って愛ちゃんに説明、実際に入ってもらって感想を聞くことに。


「これすごいー、野営する必要がなくなるし、バックを買って水とか詰め込んでおけば深層攻略も楽にできるよっ!でもすごすぎるから、他のPTには見せられないねー💦」


「そうだねえ、私の争奪戦が始まっちゃう」


「春奈ちゃんは渡さない」


「目が危ない危ない。防具補修でだいぶお金使っちゃうからすぐにアップグレードは出来ないけれど、少しの間10階層12階層くらいの層で、私の訓練も兼ねてボス荒らしにいかないかい?」


「悪くないね★」


そういえば双眼鏡ズームのこと話してないと大急ぎで解説、愛ちゃんは集中というのを頂いたそうです。

なんでも集中して反射神経を高ぶらせ体感速度が遅くなるんだとか。時を操るとかどこぞの漫画のBOSSじゃないですか……


すべての技の情報を交換し合ったので防具補修に。

私のは全部廃棄して作り直しだそうです。涙ちょちょぎれる。


残高564万が112万に。そのかわりチェインメイルに板張りを貼り付けるバンデットアーマーというものにしてもらいました。

わかりやすく言うと『急所外しの』チェインメイル+1だね。

逆にわかりにくいか、そうか。



愛ちゃんは剣が曲がったというので新品を買いました。金持ち……


今までは普通の鋼系統だったのですが、今回からダンジョン資源を使ったモンステンレスに切り替える模様。

ステンレスの特徴を持ち合わせながら切っ先が鋭利に出来て摩耗しにくい結構素敵なナイスガイ。


まー私は魔人の軍刀がありますからね!まだまだ刃こぼれしないし切れ味も落ちない!




さて、防具の発注もしたし愛ちゃんは今武器ないし、少し休みま

「僕左手のガントレットがあるからだいじょーぶ♥」

がんばりますか、うん、がんばれ、がんばれ私



それで赴いたのが那珂川市大通りダンジョン。降りていくタイプのダンジョンで、現在6階までは調査が進んでいるようです。どれもサイズは違えど大部屋で構成されていて、5階まで駆逐して駐車場にしたいとのこと。

やってみますかね。

敵の数が多いから依頼受けずいフリーで入れるらしい。面白いけど大丈夫かな、無謀な人いそうだけど。


1階はコボルト、2階はゴブリン、3階にオーク、4階に一本傘、5階に鈴木だそうです。5階ヤダすぎる、また人系か。でも5階で慣れれば……時を超えし絆さんは、一夏いつかさんでも人系余裕だったし負けていられない。


まずはオークの処分から.これも15階とかで出会うとかなり強いらしいのですが、この階だと人っぽいというの意外は楽ですねえ、振りが遅い。


「おらぁぁ!」


あ、今愛ちゃんが飛び込んで一人殴り殺しました。この娘本当に人なのだろうか。


ここはどの階もデカい大部屋一つだけなので、敵味方入り乱れて乱戦になってますね。敵も味方も死体がたくさん。フリーだと無謀な人やっぱり出るんだなあ。


踏み込み突き!


胸を直撃!


袈裟斬り!


背骨のところまでバッサリと!

私じゃ骨は切れない


横薙ぎで内蔵どばぁだ!


3対倒している間に愛ちゃんは10対ちょっと殴り殺してました。化物だ、化け物がいる。



3階も飽きてきたので4階に行ってしまいました。駆逐?なんのことですか?依頼されてませんよ?


一本傘は妖怪のあれです。一本傘。魔法を使ってきて、こちらの動きを遅くしてからの飛び蹴りで蹴り殺してくるそうです。PDAモンスターデータベースより。


傘に可愛い顔が書いてある、下駄を履いているってのは可愛いですけど、蹴りの鋭さはかわいくないなあ……


「ぺろーん、ぺろーん」


しゃべるし。


攻めあぐねましたが、傘を切ってみました


「ぺぺぺろーん、ばーか」


こいつ殺す。


傘は即修復されたようなので、足のほうが本体でしょうね。


傘が邪魔して狙いにくいー。踏み込み横薙ぎのいい練習だ。そらーそりゃーうりゃーどりゃー!


当たりません。お狐さまなにかいい新技教えてくれないかなあ。困った時の神頼み。



そうだ地面を内部爆破してしまえ。ぺろーんと上に飛んだ瞬間に爆破ボム

どかーん、瓦礫がバーン!それでバランス崩して一本傘コケる、そこを切る。当たる。傘は死んだ。チーン。



さて、少々気持ち悪いのですが、これ巨大しいたけになるんだそうです。足は本当に足なので、食べるとしたら傘の部分、もちろん剥ぎ取って持って返ります。剥ぎ取りナイフそろそろいいの買おうかな。


そういや1VS1だなーなんでだろう?と周りを見回したら、そこにはありえない数の傘の死体が。愛ちゃん仲間が割り込んでこないよう殺し回っていたのか…… ありがとう。


「愛ちゃんありがとうね」


「いえいえ、なれるまでは周りに目が向けられないもんね。でもちょっと多くなってきたから戻ったほうがいいかも。数の暴力は本当危ないからね」


「そうだね、数体剥ぎ取って終わりにすると」



その後数体のオークを薙ぎ払ってから戻りまして、ゲートくぐって討伐証明機にチャリーン。1人100万いくっぽい。儲かるなあ。

だから人が多いのか。剥ぎ取った傘は一つ5万くらいです、高い!



夜になったので繁華街に繰り出したんですが、ちょっと活気が無いですね。ベットタウンなんでしょうがないか。北の新首都区、南の特別政令都市宇都宮に挟まれちゃってるもんね。住みやすそうだけど。


なんとか5階に到達しようと試みたものの、4階に行く人がいないので一本傘集団に取り囲まれてしまい、進めず断念。


爆破ボムで散らしても間に合わないし、吹っ飛んでも傘を展開して衝撃を弱めちゃうので、瞬間的かつ強力な爆風をあてないとだめですね、それはちょっとまだイメージが遅いので難しい。


唐傘が一体25,000円と美味しいので、愛ちゃんに無双してもらいつつ私も戦闘訓練をしておりました。

剥ぎ取りは3体も剥げばバックいっぱいになっちゃう。魔法の袋とかほしいなあ。1000万からですけれども。オークションものだしなあ。


別立てで異次元の家改装費という勘定項目を作ったので、今度から愛ちゃんの撃破分の討伐報酬の分配はそっちに入ります。あれは私の能力だけど2人で使うものなんで。



一本傘って強いんですかね、それとも私の成長性の増加の加護のおかげでしょうかね、何体も倒しているうちに踏み込み薙ぎが入るようになってまいりました。

こうなればこっちのもんだ、更に殺していく。一本傘を駆逐してやる!!


「じゃあ飲水買うね、湧き水ということなんで、かまどの近くかな」


チャリーン。はい、500万貯まるまで殺してました。4階駆逐したら手に入った感じだね。私の手は巨大しいたけの血で汚れている。500万のうち300万は愛ちゃんの個人資産からなんだけどね。お金いくら持っているんだろう……


出現した湧き水は、湧き水ですね。形容のしようがない。しいて言えば湧いてるのに水が溢れないくらいでしょうか。


「これ飲めるのかな?」


「あぶりゃーげおいて聞いてみよー?」


「意味あるかなー、やってみますか」


油揚げ買ってきて、祭壇に置く。祝詞のりとやお経はわかんないのでパス。お狐さま、この湧き水飲めますかー?


――――ぴんぽんんぱんぽーん――――


飲めます

ご飯美味しく炊けるよ

炙ったあぶりゃーげが食べたい


――――ぴんぽんんぱんぽーん――――


「飲めるんだ」


「炊飯器はさすがにむり?ごはんたべたい」


「んー、見てみるか。5アンペアから1兆アンペアまで様々な野外の電源とコンセントが用意されてるね。一般のうちは15アンペアだから……1000万か。家建てたほうが早いかもね、多分家につくでしょう、コンセント」


「わかった、がんばろー」


「「おー」」






若月春奈、オークは人と思ってません。

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