141話 人化

 それから見ること約4時間。

 空はすっかり茜色に染まっていた。


「じゃあ今日はこの辺でいいだろ」


「「「お疲れ様でした!」」」


「おう、お疲れ。しっかり帰って休めよ~」


「「「はい!」」」


 俺はそれだけ言うとプルルを連れ、自分の部屋に転移した。

 ……今日は疲れたなぁ。久々に教えるという作業をしたせいか、肉体的には全然大丈夫だけど、精神的にきてるな……。


「プル?」


 俺よりも頑張っていたプルルが心配そうな表情でこちらを見つめる。

 ……癒されるなぁ。

 ペットを飼う人ってこういう気持ちなんだろうな~。

 ぷにぷにで気持ちいし。

 これが本当のスライム……スライムマニアが現れるのも然るべき事だと言える。


「……そう言えばプルルってどんな食事をとってるんだ?」


 気にった俺はスライムの生態系について叡智で調べることにした。


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 <スライム>


 世界に大量に存在している。基本的に全ての物を食べる。最下級の魔物と分類されているが、スライムには様々な進化先があり、成長は無限大である。

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 雑食なんだなぁ。まあそれなら自分で好きな物を食べてるだろ。

 それにしても様々な進化先か……。そこがものすごい興味に唆られるんですが?


「まあ、プルルもこれから強くなってほしいよ」


「プル!」


 俺の思いに答えるようにプルルは感情表現を俺にした。


「じゃあ今日は寝るか……」


 幸い、あの二人を見ていた時にアイテムボックスに収納してある晩御飯を食べていた為、既に寝れる状態だった。

 え?風呂?そんなの朝シャンこそ至高でしょ。何言ってるの?


「プルル」


 まるでおやすみとプルルが言ったように俺には聞こえた。

 そして意識は途切れるのだった。


 翌日。


「……ああ、もう朝か」


 窓から入る陽の光は朝が来たことを知らせる。

 起き上がろうとすると、俺に何かが乗っていることに気づいた。


「……ん?」


 気になった俺は布団をまくり、その正体を確認する。


「んっ!?」


 俺の上には水色の髪をした推定年齢8歳ぐらいの女の子がいた。


「……あれ?ご主人様?」


「……誰?」


「ご主人様?忘れちゃったの?私、プルルだよ?」


「な、なに!?」


 突然の事に俺は困惑する。

 プルルが人になった!?


「ご主人様、お腹空いた……」


「あ、ああご飯か。何が食べたい?」


「葉っぱ……」


 ……流石にそれは想定外……。


「スライムってどんな葉っぱが好きなんだ?」


「魔力が沢山含んだ葉っぱがいい!」


 魔力か……アレなら大丈夫かな?

 そして俺はアイテムボックスの中からあのダンジョンで取っていた薬草を取り出す。

 アソコのダンジョンは全てが揃っているからな。もちろん薬草もあったわけだ。

 将来的に薬とか作ってみようと思ったりしてたけど、やる機会もなかったし、消費するには丁度いいな。


「これでいいか?」


「ん……美味しい!」


「気に入ってくれて何よりだ」


「ご主人様、大好き!」


「ちょっ!?いきなり抱きつくな!」


 こうしてプルルは人化した。……アレ?人化って上位の魔物しか出来ないんじゃなかったっけ?

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