92話 移動
ミリアの詳しい話は向こうに着いてから詳しく聞くことになった。
そしてアクシデントがあったものの、ポニーは進んでいく。
夕日が沈みそうなところで今日は野宿をすることにした。
「よしよ~し。いい子ですね~」
ポニーの世話はエルにしてもらうことにした。
……というかエルよ……。
馬ってそんな感じで世話をするんだったっけ?
なんか俺の考えとは斜め135°ぐらいのズレてるな……。
「これでよし!」
どうやらポニーの世話は完了したようだ。
「じゃあみんなの夕食作るね、アルス手伝って」
「分かりましたエル様!」
……俺は何も聞いていないし覚えてないから……。
「後タルサ王国まで何日ぐらいかかるの?」
「大体2日くらいだな。……もうちょっと早くするか?」
俺ならやろうと思えば不眠不休で一週間ぐらいいけるから、みんなが寝てから俺が運転してもいいんだけどな……。
でもそれだとポニーをどうするか……。
「出来るの?」
「まあな。その代わり朝になったら少し休ませてくれよ」
「それはいいんだけど……」
とりあえず俺は明日は休ませてもらえるという権利を得られた。
よし!今日はオールだな!
説明しよう。オールとは一睡もしないで次の日を迎えることだ。簡単に言えば徹夜である。
それから十分後。
「ご飯できたよ~!」
エルとアルスが俺が組み立てた簡易用テーブルにお皿を乗せていく。
「「「「おお~!」」」」
今日は魚介類のカルパッチョや刺身、カマの塩焼きなどなど……。
完全に魚介類中心の晩御飯だった。
「美味しそう!」
「今回は余っていた魚を中心に作ってみたよ~!」
じゅるり……。
……おっと。思わず涎が出てしまった……!
だってこれ本当に美味しそうなんだもん!
涎が垂れてしまっても仕方ないじゃん!
「「「「「「いただきます」」」」」」
……魚のカルパッチョとか本当に久しぶりに食べるな……。
最近、ていうかこの世界に来てから結構肉を多めにとっていたから魚という時点で新鮮に感じる。
「やっぱり美味い!」
俺の期待していた通り、滅茶苦茶うまい。
やっぱりアイテムボックスってクソ便利だよなぁ……。
だって中に何を入れていたとしてもそこから時間が進まないから、鮮度も落ちないし、傷みもしない。
輸送業とか一人にこのスキルは必須だよな。
「エルちゃんってどうしてこんなに料理を上手に作れるの?」
「それは慣れかな?いつもご主人様に作ってたから」
「なるほどねぇ……」
いや、ちょっと待て。
エルって俺と一緒に行くことになった時もだいぶ料理上手かったけど、それはどうなの?
完全に俺のせいってわけじゃないよな?
そんなこんなであっという間に食べ終わった。
……やっぱり肉もいいが魚介類も良いな……!
やっぱり刺身は神だと思うの!
「じゃあ片付けるね」
そこからエルとアルスはテキパキと食器を片付けていった。
それから数時間後、みんなが馬車の中で寝静まった。
ポニーも地面で気持ちよさそうに眠っている。
「じゃあやりますか」
ここから労働タイムだな。
ポニーは重力魔法でポニーにかかっている重力を操り、空に浮かび上がるようにし、なおかつ移動によって発生するGを極限まで減らす。
そして移動の時に風が不快にならないように風魔法の操作もバッチしだ。
俺は馬車の手綱を持つ。
……ここでさらに裏技を使う。
重力魔法を使って重さをなくした。
これで俺は何も持たずに、手綱さえ引っ張っていればいいだけだ。
「では出発……」
みんなが寝ているから大声を出すわけにもいかず、少量の声で出発した。
……やっぱりこれは軽いなぁ……。
そう思っているうちに俺はどんどん進んでいく。
今は夜ということで対向に誰もいない。
全力が出せるぜ!
ぐんぐん進んで三時間後、もうタルサ王国の門が見えてきた。
「今日はこのぐらいでいいかな……」
特にスピードも出していなかったけどあっさり手前までつくことができた。
「俺も寝よおっと……」
流石にみんなと同じ馬車で寝るわけにもいかず、自分でテントを張り、その中で眠るのだった。
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