あの2人は危なっかしい?



神様は言った。


「人間たちは仲間がいていいなあ。」


神様は雲の隙間から地上を覗き込んでいた。





神様はひとりぼっちだった。


人間の命のペットボトルにある水の調整が神様の仕事だった。

災いをふりかけることで命の水を減らすのだ。


孤独なあまり、家族がいる人、友達がいる人、恋人がいる人たちにイタズラをすることがあった。片方の命の水を減らし、仲間を失い悲しんでいる人を見るのが孤独を癒す唯一の方法だった。



ある日、あるカップルが目に入った。


おもしろくないと思った神様はいつものようにイタズラを仕掛けた。




でもなぜか彼らに何度イタズラを仕掛けても2人の命の水はぴったり同じ量だった。


何度やっても秒単位で変わらない。こんな人間初めてだ、とおもしろくなってきた神様はありとあらゆる方法で女の命の水を奪った。


だが、何度やっても2人の命の水の量は変わらないのだ。



神様は気づいた。この2人には敵わない。

もう意味がないと気付いた時には、彼らの命の水は限りなく少なくなっていた。



毎日毎日イタズラを仕掛けているうちに神様の日常に彼らは欠かせないものになっていた。



明日にはこの2人は死んでしまうのか、そう思った神様は少し寂しくなった。



神様はこの2人のことをずっと見ていたいと思った。




神様は最後にステキな魔法をかけた。




そして彼らの残りの時間を見守ることにした。








何十年も経ったある日、気になっていた2人は縁側に座って猫を抱いていた。

2人が「幸せだなあ」同時にそう呟いた瞬間、彼らのペットボトルから最後の一滴が落ちた。





神様のステキな魔法。



それは今まで神様がイタズラをして奪ってしまった分の水を2人にそれぞれ同じだけ与えるというものだった。

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