第467話

「王宮に着いてから、知らせが来て居るかどうかで、裏切りはハッキリするでしょう。」

と海渡が言うと、


「うむ、確かに。」と同意するデクスタさん。


「ところで、タクラン君の人柄ってどうなんですか?」

と海渡が質問すると、


「第一王子ですか・・・」

と苦い顔をする3人衆。

 ああ、もうその反応が全てを物語っているな。


「まあ、その反応で察しました。と言う事は、廃嫡するのが惜しい人物じゃない訳ですね。

 逆に好都合じゃないですかw」

とニヤリと黒い笑みを浮かべる海渡。


「ああ、ダーリンのその笑み、久々に見ると、ゾクリと来ますねw 素敵!」

とジャクリーンさんが呟く。ミケやケモ耳ズの4名も尻尾をブンブンと揺らしている。


「やっぱ、カイト君と一緒に居ると、おもろいわぁw」

と状況を楽しんでるステファニーさん。


「さて、王都上空に着いたので、光学迷彩を解いて、派手に行きますか。」

と海渡が呟き、サイレントモードも一緒にOFF。


 ヒラメ君0号機は、王宮前の広場を目指し、オートランディングに入る。



「おい!あれは何だ!?」

と騒ぐ衛兵達が右往左往しているのが判る。


「あ、あ、カイト様! こんな事して大丈夫でしょうか?」

と冷や汗をかき始めるデクスタさん。


 おいおい、そこは逆に何とかしてくれよ! と海渡は思うが、


「まあ、なるようになるでしょうw」

と言っておいた。


 高度50mぐらいで取りあえず、念の為に外部にアナウンスを行う。


「あー、こちらは神王国日本のカイト・サエジマと申します。

 突然王宮前に飛んで来て申し訳無い。敵対の意思はないので安心して欲しい。

 負傷したそちらの第一王女 ミルフィー・フォン・ドレン殿を保護し、お連れした。

 今から着陸するが、攻撃の意思は無いので、そちらも攻撃しない様にお願いしたい。」

と海渡がアナウンスすると、王城の城壁に構えていた弓隊が弓を降ろした。

 城門が開き、騎士による騎馬隊が整列している。


 着陸後、扉を開け、デクスタさんに手を引かれたミルフィーさんを先頭に、全員が機外へ出ると、海渡は扉を閉じて、ヒラメ君のセキュリティをONにして待機モードにセットした。


 女性騎士の1人が馬に乗り駆けて来て、馬から飛び降り、

「殿下!」

と跪いた。


「おお、その声は、アルメラですね? こちらのカイト様に助けられ、無事に帰って来れました。丁重におもてなしする様に伝えなさい。」

とミルフィーさんが言うと、「はっ!直ちに」と言って、手で合図をして、王家専用馬車がやって来た。

 アルメラさんは、第一王女の親衛騎士隊の副隊長とミルフィーさんが耳打ちしてくれた。



「じゃあ、ここまでで。後は上手くやって下さいね。」

と海渡が言うと、全力で反対された。


「いや、無事に送り届けるまでが、俺の乗りかかった船で、それ以降は関係無いからね?」

と海渡が言うと、


「えい、命の恩人であるカイト様をそのまま帰したりした日には、王家の一員として、この先生きて行けませんわ!! 何卒、せめて父からの感謝の言葉を受けて頂きたいのです!」

と食い下がられ、しょうがなく付いて行く事になってしまった海渡ら一行。


 ちっ・・・離脱失敗か。と内心毒突く。



 結局押し切られ、海渡も馬車に同乗する事になり、他のメンバーは自動車で着いて行く事となった。


 馬車の中では、

「アルメラ、私が襲撃を受けて負傷したと言うグエンからの伝令は届いてますでしょうか?」

と聞くと、


「いえ、先ほど襲撃を受けたらしいとアナウンスで知ったばかりです。」

とアルメラさん。


「なるほど、これで敵の手先だった事が、ハッキリしましたね。」

と海渡が言うと、苦い顔をする従者3人衆とアルメラさん。


 その横で、

「ああ、懐かしの王宮の姿・・・」

と薄目を開いたミルフィーさんが小声で呟いていた。





 現在、海渡達11名は応接室へと通され、ソファーに座り、寛いでいる。

 ミルフィーさんは、一旦着替えに席を外し、王様へと報告の上、こちらに来るとの事だった。


「兄貴、やっぱり兄貴と一緒だと、旅もひと味もふた味も違うっすねw」

とワクワク顔のラルク少年。


「流石はボスです!」

とケモ耳ズ4名もワクワク顔。


「いやいや、君達、楽しんで頂けてるようだけど、人をトラブル体質みたいに言うのは、勘弁してくれる?

 人聞きが悪いからね?」

と苦い顔をする海渡。


 爆笑するフェリンシア、ステファニーさん、ジャクリーンさん。


「まあ、ついでだから、せめてドラゴンの情報収集しようかね。」

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