第423話


異世界7ヵ月と9日目。


エリーゼンの宿舎の部屋で目覚め、昨夜の夜中に飛ばしたドローンの状況を確認する。

勿論、王宮の中にも飛ばしてあるw


昨夜は、結局押し切られる感じで、ジャクリーンさんを連れて宿舎へ戻ったが、その後が遅くまで大変だった。


温泉初体験で大興奮のジャクリーンさんを宥め、部屋割りで揉めて宥め、やっと沈静化した所で、ゲートを使ってエストニア王国の王都上空からエストニア王国全域にドローンをバラ撒いたのである。


国土的にはそれ程大きくない国だけに、一晩でスタンバイ出来たw


ちなみに、エリーゼンの面積は魔の森を含め、大体海渡の国の1/2程度、エストニアも同じく1/3ぐらい。


ふむ・・・となると、人材さえ揃えばそれ程無理なく統治出来るじゃないか?

でも、そうなると問題は、派遣される貴族の質か。


軍事面の支援となると、目下一番手っ取り早いのは、この国境沿いに城壁を造ってガッチリガードする事だろうな。

ザインバッファ王国と違って、大きいだけに、国境線も長いんだよね。

弟子ズも最近は魔力量も増えて、土魔法のLvも上がっているから、十分に任せられるし、城壁作りを手伝わせれば、1日で終わりそうだな。


飛行機とトラックの支援を行って、速やかな対応が出来る様にすれば、まず攻め入られる事は無いだろうww

飛行機50~100機、トラック100台ぐらいあれば、十分だよな。

と言うか、そもそも城壁だけでガッチリガード出来るんだけどねwww

一応、念の為に、この大陸での城攻めとか城壁破りの常套手段と兵器の調査しとかないとな。


まったりコーヒーを飲みながら考えていると、フェリンシアが起床したので、朝稽古に向かった。

一応、ジャクリーンさんの部屋をノックしたら、起きていて、朝練と聞いて速攻で出て来たw


「あのー・・・、待ってるから、ちゃんと服を着て来て下さい。 流石にそのままやる訳にはいかないでしょ?」

とスケスケのネグリジェから目を逸らしつつ指摘すると、


「えー? そんな反応だけ? もうウブなんだからぁ~❤」

と半分わざとらしい・・・ 朝からゴチです!!

一応、心のシャッターは連写モードできっておいたwww



昨夜の夜中に密かに造っておいた、地下訓練場へと向かい、弟子ズと合流した。


そこで、海渡は、フェリンシアと弟子ズ達で訓練させている間に、ジャクリーンさんの強化から始める事にした。

断りを入れてから鑑定し、そのずば抜けたステータスに驚いた。

「なるほど、これなら智恵子さんに、勿体ないと言われるだけはあるな。」

と海渡が呟き、まずは、ドーピングを行う。

魔力感知、魔力操作は既に持っているので、身体強化~クロックアップまでを、1時間半で猛特訓した。


そして、現在の鑑定結果が下記となる。


**********************************************************************

 名前:ジャクリーン・フォン・エリーゼン

 種別:人族

 年齢:13歳

 Lv:42

 状態:正常

 HP:117068/218482

 MP:1230/123230

 筋力:58518

 俊敏:47889

 武術:剣術Lv8 小剣術Lv5 槍術Lv7 体術Lv5 弓術Lv7

 魔法:火Lv1 水Lv1 風Lv1 土Lv1 光Lv1 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:成長補助 身体最適化 経験値増加 暗視 視力強化 嗅覚強化

     聴覚強化 気配察知Lv3 環境順応Lv1 身体強化Lv2 魔力感知Lv2

     魔力操作Lv2 身体加速Lv2 クロックアップLv2

 称号:英雄 殲滅の剣鬼 美しき狂剣 残念団長

 説明:海渡を伴侶と認める者

**********************************************************************


「うん、凄いじゃないか!!」

と1時間半の成果に驚きつつ、素直に褒めると、デレるジャクリーンさん。

驚いたのは、最初から全魔法属性を持っていた事。

しかも、補助とか増加系のスキルも生まれつき持っていたっぽいから、これは化けるねw


「もぅ~ダーリンってばぁww もっと褒めて褒めて♪」

と汗ビッチョリでくっついて来る。


「だー!! 汗ビッチョリで、引っ付くなーー!!」

と海渡が縮地で逃げて、速攻で自分自身とジャクリーンさんにクリーンを掛けるのであった。


朝風呂でスッキリした後、朝食を食べながら、5つの依頼の中で、誰がどれを殺るかで、軽くもめるwww


「なるほど、全員、ワイバーンはやりたい・・・と。美味しいもんなwww」

と海渡が言うと、


「いや、兄貴、それだけじゃないっすよ? 自分がどれくらいイケる様になったか? 兄貴達の伝説にどれ位近づけたか? を確認したいんすよ!」

とラルク少年が力説する。ウンウンと頷く他の弟子ズ。


何時になく、弟子ズの反応が熱いなwww


「なるほどなぁ・・・気持ちは判った。じゃあ、公平にワイバーンは全員、1人1匹行くかwww

他もだけどさ、これって、普通1人1案件だよなぁ。2人だとオーバーキルも良いところだよなw」

と海渡が言うと、ジャクリーンさん以外の全員が、ウンウンと頷きながら笑っている。


それを聞いた、ジャクリーンさんは、

「あり得ない・・・、2人でオーバーキルとかw こっちの大陸では、SSランクとSランクをかき集めて、ギリギリどころか全滅覚悟の依頼ばっかりなんだけど?

これの依頼書を見て、笑ってオーバーキルって言うのを初めて聞いたわよ!!!」

と驚愕を通り越して、吠えていたw


「まあ、でも今となっては、十分に納得する自分が居るわwww」

とその後笑っていた。


「うーん、どうしようか、もうちょっと、1~3件SS依頼ないか、ギルドに寄って聞いてから行くか?」

と言うと、全員が、


「「「「「「「「「イエス・サー」」」」」」」」」

と敬礼していた。


宿舎を出る前に、ジャクリーンさんが、どうしてもお揃いのコスチュームに拘り、ゴネて・・・海渡が折れた。

問題の色だが、結局海渡と同じ、黒を希望したので、黒をワンセット渡し、防具もセットで渡した。

これで、全員が同じ装備となった訳で、もうそれからのジャクリーンさんのテンションがヤバかったwww


「わーーい、楽しいなったら、楽しいなぁ~~♪」

と通りを歩きながら、手を繋ぎ、ブンブンと振り回しながら、スキップしてるww


海渡は・・・苦笑いするしかない状況。

街の人は・・・生暖かい目で見守っている。


「何だろうか、ただ街を歩くだけで、こんなにも精神面が削られて行く様な感じは。」

と海渡が呟くと、後ろから、フェリンシアがトントンと肩を叩いて、励ましてくれたのだった。


更にその後方から、

「兄貴・・・ドンマイ!」

とラルク少年の呟きも聞こえた。



ギルドに入ると、中の冒険者達が、シーンと静まり返って、昨日の受付嬢のおねーさんが、飛んで来た。


「えっと・・・ジャクリーンさん、か、海渡さん、本日はどの様なご用件で?」

と、焦りながら聞いて来た。


「ああ、ちょっとね、昨日頂いた依頼なんですが、もう2,3件無いかなぁ?とね。ちょっと取り合いになっちゃいましてね。」

と海渡が言うと、


「「「「「「「「えーーーーー!!」」」」」」」」

とギルド内の全員が絶叫。


「そ、それは、SSランクの依頼を増やせと言う認識で合ってますでしょうか?」

とおでこに汗を掻きながら、聞いて来るおねーさん。


「です。です。みんながワイバーンやりたいって言うから、取り合いになっちゃいましてね? 最初は2人で1案件と思ったんですが、それでも過剰戦力なんで。もうちょっと増やして貰えると、円満に行くんですけど。」

と海渡が言うと、


「ちょっと・・・ギルマスに相談して来ます!!」

とおねーさんが、飛んで行った。


「おい、聞いたか今の・・・。あの5件って達成不可能と言われてた奴だぜ?」

「だよな? それを、2名で過剰戦力だってよ? マジか!?」

「マジなら、どんだけ化け物かって話だよな・・・」

「それより、見ろよ、剣鬼が黒の軍団入りしてるぞ!! すっげー笑顔!!」

「俺、あんな笑顔の剣鬼、初めて見たわ。」

「お姉様・・・お幸せそう・・・く、悔しいわ!!」

「俺も、あんなデレっデレの剣鬼、初めてみたぜ! 超可愛いよな♪」

「おい、滅多な事、言うんじゃねーよ!! 見てるだけなら・・・だろ?」


と失礼な会話がザワザワと聞こえて来た。



「おい、お前、どんだけギルドでやらかしたんだよ?」

と思わずジャクリーンさんに突っ込んでしまう海渡。


「キャハァッ♪ダーリンってばぁw やっと私を認めてくれたぁ❤」

とデレるジャクリーンさん。


「あー、すまん・・・。思わず勢いで突っ込んでしまった。 忘れてくれないか?」

と海渡が訂正するのだが、ダメだった。


周りの冒険者も職員も、ドン引きである。


そこへ、やっと受付嬢のおねーさんが帰って来て、そのロビーのただならぬ雰囲気に、ビビりながら、


「あのぉ~、やっと2つだけあったのですが、これで如何でしょうか?」

と依頼書を持って来た。


6)漁村の漁場に居るガチコンブの一掃

7)ドレン湖に繁殖したアリゲーター・トードーの駆逐


そして、新たな2件の場所を教えて貰い、


「よし、じゃあ、これら7件、確かに俺らのパーティで請け負った。」

と海渡が宣言し、海渡はまたしてもガチコンブ担当となったのだった。


1)集落の近所の山に巣を作ったワイバーン15匹の群れの討伐。

   ←最後に全員で

2)漁村の漁場に出没するクラーケン3匹の討伐。

   ←プリシラ&パトリシア

3)街道沿いの森に巣くったオークの集落の討伐(キング種を含む推定400匹)

   ←ミケ&キャス

4)鉱山の村近辺に巣くう、ロック・リザードの群れとコカトリスの群れの殲滅。

   ←フェリンシア&ステファニー

5)沼地で増殖してしまった、ポイズン・フロッグと、マッド・サーペントの殲滅。

   ←ラルク少年&レイア

6)漁村の漁場に居るガチコンブの一掃。

   ←海渡(ジャクリーン)

7)ドレン湖に繁殖したアリゲーター・トードーの駆逐。

   ←アン&サニー


と言う組み合わせにしたのだった。


そして、海渡の号令で、各チームが一斉に王都から散って行った。

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