第383話


ゲートで部屋に戻り、お茶を飲んでいると、ドアがノックされて、サンチェスさん一家が通された。


「お!! サッパリしましたねw」

と海渡が言うと、サンチェスさん一家3名が、ザッと跪いた。


「え?」

と海渡が言うと、


「申し訳ありません、カイト様が国王様とは知らずに、ご無礼を・・・」

とサンチェスさん。


「ああ、その事ですか、別に無礼も何もないですよ? それにそう言うの・・・跪いたりとかってのは、うちの国構わないですからね?

さっきのマチルダさんとのやりとりは、あれはああ言う遊びの一環ですからw 仕事を楽しむ為のスパイスというかねwww」

と海渡が言うと、ビックリと驚いていた。


なので、論より証拠と言う事で、軽食を食べに1階の大食堂へと降りて行く。

道すがら、何名かのスタッフとすれ違いざまに、人によっては、海渡とハイタッチしたり、気安い感じで挨拶したり、と・・・全員が海渡らを敬ってはいるが、謙っては居ない事を理解してもらった。


「さて、軽い物で良いですか?それともガッツリ行きます?」

と聞くと、モジモジしながら、「「「ガッツリでw」」」とwww


「ガッツリ3つ、軽いの1つ」「私、ガッツリ×2お願いします!!」「うちもガッツリ×2で頼むでーー♪」と厨房のカウンターで頼むと、

ガッツリが合計7つ、海渡の軽いサンドイッチが1つ、合計8つのトレイが出て来た。

海渡が自分の分を受け取り、ドリンクバーでコーヒーを入れて、テーブルまで運ぶ。


フェリンシアもステファニーさんも、両手にトレイを持ち、オレンジジュースやピーチジュースを入れて、テーブルへホクホクと運ぶ。


それをポカンと見て居るサンチェスさん一家。


「ほら、冷めちゃいますよ? 早く飲み物好きなのを取って持って来て!」

と急かされ、慌てて動き出す。



「では、いただきます!」

と海渡らは、食べ始める。


「あれ? どうぞ!冷めないうちに、お召し上がり下さい。」

と言うと、思い出した様に、3人はガッツリとした、サンド・ワームのステーキにナイフを入れる。


切り口から、肉汁が零れ、ガーリック醤油のマスタード添えソースと絡んでいる。

肉をフォークに刺して、口に入れると・・・


「「「っ!!」」」


目を剥く3人。


そして、それからは、止まらないwww

「お替わり居るなら、一緒に貰いに行こか?」

と既に2人前を食べ終わったフェリンシアとステファニーさんがウインク?している。(それウインクになってないからね?両目閉じてるだけだよ? とは突っ込まない大人な海渡)



「え?お替わりしても良いですか?」

と3名がおずおずと席を立つ。


戻って来た5名はフェリンシアとステファニーさんのお勧めで、オークカツカレーをトレイに持って来ていた。

そして、サンチェスさん一家が、一口見よう見真似で、スプーンで掬い、口に入れると・・・


「「「っ!!」」」


とこれまた最高のリアクションでプルプル震えている。

これまたガツガツと一気に食べ終わった。



丁度そこへ、棟梁一派がドヤドヤと入って来る。


棟梁が、海渡を見つけ、ニカッと笑いながら、

「おう!坊主!!! 例の物、明日で完成しそうだぞ! 相変わらず面白れぇ事、考えやがるなwwww まあ、それでこそ、こっちまで来た甲斐があるってもんよw ガハハハ」

と相変わらずな棟梁。


「あ、棟梁! お疲れさんです。そうですか、良い感じに仕上がってますよね。当日が楽しみですねwwww」

と海渡も悪い笑みを浮かべる。


「おう、当日俺っちも参加すっからよ、ちゃんとリアクション拝ませろよ!! いやぁ~、この国はおもしれーよwww」

と去って行った。


「「「・・・・」」」



「何から何まで、目から鱗と言うか、驚きの連続です。実は私達は、あの洞窟で死んでしまってて、今天国に居ると言われれば、信じてしまいますよ・・・」

とサンチェスさん。


「いえいえ、大丈夫、ちゃんと生きてますよ? この国ってね、実はつい先日で建国3ヶ月なんですよww」

と言うと、もっと驚いていた。


そこで、海渡はこれまでの半年間の出来事をザッと説明し、元々は両親を亡くした孤児で、とんとん拍子に冒険者になり更に商会を立ち上げた事を話した。



聞き終わった、サンチェスさんが、

「どうか、お願いです。ザインバッファ王国をお助け下さい。私に出来る事なら何でも致します。どうか・・・」

とテーブルに頭を擦りつける勢いで頭を下げて来た。


「ああ、そんなに頭下げなくても、大丈夫ですよ。もう邪神を祀る宗教は葬り去る事に決定してますからww 後は、ザインバッファ王国の国王様と面談して、打ち合わせして、聖騎士と全邪神教会の殲滅ですよw」

と海渡が言うと、


「ありがとうございます!」

と何度もお礼を言われた。


「これから、直ぐにザインバッファ王国に行くとして・・・どうしようか、このメンツで行くとそれっぽく無いですよね?」

と自分がただの6歳児にしか見えない事を理解している海渡が言うと、


「うむ・・・確かに・・・」

とサンチェスさんwww


「オスカーさんと、弟子ズを連れて、多少の人数と顔ぶれ作るか。」

と言う事で、急遽オスカーさんと弟子ズに伝心で集合を掛ける。


やって来たオスカーさんは、

「またまた、えらく急な話ですね。 えっと、私は取りあえず、雰囲気要員って事で良いでしょうかね?www」

とオスカーさん。 オスカー大臣をサンチェスさんに紹介している所に、弟子ズ1期生も集合。


「「「「「「「兄貴(ボス)、参上しました。」」」」」」」

と跪く弟子ズ。


「と言う訳で、悪いんだけど、ちょっと日帰りの小旅行に着いて来てくれる? ああ、なんだったら、途中で帰って貰っても大丈夫だからw」

と言うと、弟子ズは

「「「「「「「イエス・サー!」」」」」」」

と敬礼していた。




屋上から、ヒラメ君0号機に乗り込んだ面々を乗せ、光学迷彩とサイレントモードをONにして上空へと飛び立ち、ゲートでザインバッファ王国の王都の上空へと出た。


海渡は光学迷彩をOFF、サイレントモードをONにして、王宮前の広場へと降下を始める。


見た事も無いヒラメ君0号機に気付いて、動揺している衛兵が見える。


高度50mの所で、外部スピーカーを通し、海渡が話掛ける。


「突然王宮前に現れて申し訳ありません。こちらは、神王国 日本の特使を乗せている乗り物です。ザインバッファ王国の国王様との面会を希望し、遙々やって参りました。

戦闘の意思はありません。繰り返します。こちらは、神王国 日本の特使・・・~~。」


静かに着地し、リヤハッチから、海渡を先頭にゾロゾロと降り、海渡その両隣にフェリンシアとステファニーさん、そしてオスカーさん。

その後ろには、弟子ズ7名は横一列に並んでいる。


その後ろから、サンチェスさん一家が歩み出て、近衛騎士団が20名と衛兵の一団の方へと歩み出る。

無効からも、騎士団の1名が歩み出て来て、


「ん? もしかして、魔動技師のサンチェスか!?」

と驚いていた。


サンチェスさんが、近衛騎士団の1名と話しをして説明し、暫くすると、こちらに戻って来た。

「大丈夫そうでうです。知り合いの近衛騎士団の隊長でした。説明し、今国王様への面会の許可を求めて貰っています。暫しお待ち下さい。」

との事だった。


なので、海渡はテーブルと椅子を出して、コーヒーやカフェオレを出して、ユックリ待つ事にした。


ところが・・・である。まあ、普通に15分ぐらい待たされるのは当然と予想していたのだが・・・



城から、7分ぐらいで、衛兵が両脇に割れて、中央から、50歳ぐらいの体格の良い男性が小走りに駆けて来た。

「サンチェス!!! 無事だったか!!!」と。


「陛下!!!」

とザッと、椅子を立って、跪くサンチェスさん一家。


王様は、直ぐに3名を立たせ、無事で良かったと喜んで居た。


うん、良い王様っぽいね。


海渡ら全員が椅子から立ち上がり、弟子ズは頭を下げ、海渡とオスカーさんが、歩み出て、挨拶を交わす。


「初めまして、隣の大陸の神王国 日本と言う国で国王をやっている、海渡さえじま です。こちらは大臣のオスカー。

後ろの2名はパートナーのフェリンシアとステファニーです。

更にその後ろは、私の弟子です。

一応、それなりに人数揃えないと、それっぽく無いとの指摘もあり、この人数でやって参りました。

まあ、立ち話も何ですから、こちらのお掛け頂いて、お茶でも如何ですか?」

とテーブルの席を勧める。


「おお、貴君がサンチェス達を助けて頂いた、海渡殿ですか。この度は本当に感謝致します。」

とガッチリ握手して、椅子に座る。

ステファニーさんが、コーヒーを出して前に置き、全員が着席して、会談を始める。

海渡は念のため、防音効果もあるシールドを周囲に巡らし、会話を盗み聞きされない様にした。


「すみません、今、念のため防御と防音のシールドを張りました。盗み聞きされても面倒なんで。」

と断りを入れ、女神様から仕入れた情報を説明し始めた。


「と言う訳で、この世界の主神、女神ジーナ様が邪神ザイリーを滅せよとの事でして。

ザインバッファ王国の防衛にご協力させて頂ければと想っております。」

と締め括った。


海渡は、ラルク少年らに、ドローンをバラ撒く様に合図すると、ヒラメ君0号機の中から、上空に飛び、ゲートで聖騎士団の遠征部隊上空で、ドローンを撒き、戻って来た。


「こちらをご覧下さい。」

とタブレットを見せ、聖騎士団10個師団の動きを見せた。


「こ、これは!」


「ええ、これがこちらに向かっている聖騎士団10個師団です。あと10日でここ王都に到着予定です。

ザインバッファ王国の領土ですが、何処までがザインバッファ王国の領土となっておりますでしょうか?

侵入させると、鬱陶しいので、侵入し次第、殲滅作戦を全大陸規模で始めましょう。

何、教会と教会本部を殲滅するだけですから、他への被害は最小限となりますよ。」

と言うと、驚いていた。


「どれもこれも、我が目を疑う様な、物ばかりだな。どうか、国民を守る為、ご助力お願いします。」

と王様。


「して、そのお礼に、当方は何を差し出せば宜しいだろうか?」

と王様が聞いて来た。


「うーん、お礼・・・、いや特には要らないっちゃあ要らないのですがね・・・。」

とオスカーさんの方を見ると、


「でも、カイト様、こう言う時は、何かを提示した方が、相手も安心する物ですよ?」

とオスカーさん。

ふふふ、流石はオスカーさん、意図が分かってらっしゃるww


「そうですか。では、こう言うのは如何でしょうかね? 私共は今日初めてこの大陸に来ました。なのでこの国もこの大陸も全然何も知りません。

通貨貨幣もその相場も知りません。こちらのお金も全くもっておらず、お土産も買えない状況でしてw

なので、こちらの商品をご購入頂き、色々なこちらの常識とかの情報を教えて頂くと言うのは?」

と打診してみた。


「え? そんなので良いの?」

と覚悟を決めていた王様が素っ頓狂な声を漏らすww


「ええ、しかし、結構高額な出費だと思いますよ?」

と言いながら、通信機、トラック、バス、自動車、飛行機等を出して見せた。


「・・・・・」

と暫しフリーズする王様。


「すまない、カイト殿、そう言えば、先ほどからポンポンと物を出しておられたが、あれはどう言う理屈でポンポンとあり得ないサイズの物が出て来るのかね?」

と王様が聞いて来た。

側に座って居る全員が苦笑している。


「ああ、これはアイテムボックスと言うスキルでして、どんなサイズの物でも生きてる物以外は幾らでも入る収納したり出したり出来るんですよ。

収納している間は時間も停止するので、ほら、この通り、食品も腐りませんし、冷めません。」

と暖かく焼いたばかりのパンが出て来た。


「おおお!!!! 何と便利なスキルだー! 良いなぁそれ!!」

とはしゃいでいる。


「まあ、アイテムボックスのスキルと同じ様な効果の魔道具もありますよ?」

とマジックバッグを取り出した。


「このバッグも容量は無制限で、登録した者しか中身を取り出せない物でして、中の時間経過はありませんし、幾ら入れても重さも0となります。」

と言うと、売ってくれ! と速攻だったww


そこで、こちらの通貨について、その価値を摺り合わせする事にした。


王様に頼んで、全種類の貨幣を見せて貰う事にして、パン1個の値段、肉串1本の値段をベースにして聞いて見ると、予想通り都合の良い仕様となっていた。

貨幣は・・・ 銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨 の6種類、各下位の硬貨100枚が上位の硬貨1枚との事。


「なるほど、では我々側の大陸と、貨幣価値も切り上がりの単位も物価もほぼ同じですね。

ああ、こちらに出した物は1個ずつ、お近づきの印に献上致します。」

と出した魔道具を差し出した。


結果、追加で通信機を100台、トラックを10台、バスを10台、マジックバッグやマジックバックパック、マジックポーチを各10個お買い上げとなった。


「結構な金額になりますが、大丈夫ですか?」

と心配すると、大丈夫だよwと笑って言っていた。


「あ、オスカーさん、ありがとう! 弟子ズ達もありがとうね! もう帰って良いよ? 後はこっちで色々情報詰めておくから!」

と言うと、オスカーさんも・・・そして特に弟子ズが、ガーーーーンって顔をして愕然としている。


「あれ?」っと海渡が言うと、


「兄貴!そりゃあ無いっすよ! せっかくの初めての大陸で、俺ら、ワクワクしちゃってるのにぃ・・・あんまりだーー!」

と絶叫してた。


「ああ、いや、そんな捨てられた子猫みたいな顔をしなくても・・・。何かやってる所を無理に連れて来たんじゃないかと、気を利かせたつもりだったんだが、まあ良ければ、最後まで一緒に居てくれよww」

と言うと、オスカーさんも弟子ズも大喜びwww


「じゃあさ、ついでにお願いなんだけど、自動車のパイロットスキルをこちらの人に生やしてやってくれる? ドーピング有りで良いから。」

と言うと、


「「「「「「「イエス・サー」」」」」」」

と敬礼していた。


「ほう、彼らとカイト殿は面白いですな。慕われ様で、カイト殿のお人柄が窺えますなwww」

と王様。

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