第232話


「と言う訳で、これから作戦会議を行いたいと思う。ワンスロット王も宜しくお願いします。」


「ああ、何か昼食がメインになっちゃったからのぅ~ww」

とお二人さん。


「まずは、カイト君からの提案の作戦を話して貰うのが良かろう。」

とワンスロット王様。


「では僭越ながら、ご提案させて頂きます。

まあ、あまり大した物ではなく、こちら側の被害は限りなく0を目指し、敵の司令中枢を叩き、敵の戦意を削いで速攻で終わらせる。

その為に、まずこちらが侵略攻撃された既成事実を作り、最初の攻撃を先方から受けた直後に、私とフェリンシアが敵の本拠地であるゲルハルト帝国の宮殿を壊滅させる、と言うプランでした。」

と海渡は説明し、続ける。


「しかし、今回のワイバーンを操ったと言う事で、色々な可能性が出て来ました。

敵が絶界の森の魔物を使い、戦場・・・この場合、国境線で使用するなら、おそらく、こちら側の兵士に、かなりの被害が出るかと思います。

更に、国境が戦場として派遣された後、魔物を使って絶界の森からワンスロット王国のトリスターとコーデリア王国の王都へと攻めてこられた場合、完全に不意を突かれた状態となり、壊滅的な被害が出る可能性もあります。」


一拍置いて更に続ける。


「で、今回のワイバーンですが、トリスター側に10匹、中に強力なブラック・ワイバーンが入ってました。絶界の森から一番近いのはトリスターとなりますが、ワンスロット王国の王都は更に2600kmも離れております。

その為により多くのワイバーンを派遣したのではないかと思っています。トリスターにしろ、王都にしろ、頑強な城壁があるので、空を飛ばない通常の魔物であれば、スタンピードがあっても、おそらくそれ程の被害は出ませんが、城壁が壊された場合は、壊滅の危機となります。

それはコーデリア王国の王都も同じでしょう。

ワイバーンはこことトリスター経由ワンスロット王国の王都の城壁を狙った陽動の為の前振りだったのではないかと思っています。

そして、開戦直前のスタンピードによる魔物の攻撃・・・これが一番辻褄が合う気がしますね。」

とここまでを一気に話した。


すると、2人の王様は、

「「うーーん・・・」」

と唸った。


そして、ワンスロット王が口を開いた。

「うむ・・・確かに言われてみればその通りだな。魔物を態々国境の戦線に持ってくる労力と日数はとてもじゃないが、現実的ではないだろう。

しかし、そうなると、当初の通りに国境にだけ配備するのでは、足りなくなるし、絶界の森の魔物にも兵を割かねばならないな。はぁ・・・」

と頭を抱えつつ、大きなため息をついた。


そこで海渡がニヤリと笑い、

「しかし、その魔物が事前に居なくなる可能性も高いですよ?www」

と言うと、


「どういう事かね?」

と不思議そうにエルフ王。


「あの時は、ザックリとしか確認しなかったんですが、それでもオークやらミノタウロスやら美味しい魔物がもの凄く多く集まってたのでねww 食いしん坊の僕ら2人としては、見逃せないかなぁww」

と笑う海渡。


つられて、フェリンシアもクスクス笑う。

「あ、フェリンシア、涎!涎!!ww」


2人の王様も、後ろに控えていた大臣や団長も大笑い。


「まあ、実際の所、全滅させても良いんですが、最悪手っ取り早い方法としては、各ボス格を叩くだけで、後はバラバラに動き出すと思いますよ。まあ、せっかくのチャンスなので逃す気は無いですけどね。

それに、陽動として魔物を使うのであれば、そろそろ移動を開始してる可能性が高い気がしてます。魔物に付いて行動を共にしている様なゲルハルト帝国の監視兵は居ないと思うので、攻撃が成功したかは、確認も伝達も方法が無いのではないかと思いますからね。

ちなみに、国境ってどういう防衛線になっているんですか? 国境上に巨大な壁を作ってるとか? もしくは砦を点で配置とか?」

と聞くと、2人の王の説明では、砦を配置しているのみらしい。



「じゃあ、こう言う筋書きはどうでしょうかね?


1)魔物は事前に私とフェリンシアで、使い物にならない状態にしてしまう。

2)敵が攻めて来るまで、あえて兵は動かさず、通常通りとする。

3)敵が攻撃してきたら、開戦と言う事で、飛行機を使って部隊をピストン輸送して

  敵の戦意を喪失させる。

4)同時に私とフェリンシアで敵の宮殿を壊滅させる。

5)その様子を映像として敵兵に見せつける。


と、こんな感じですが、如何でしょうか?」

と海渡が提案する。


「うむ。凄い作戦じゃ! 敵の油断を突く素晴らしい作戦じゃないか! しかし、かなり君らに負担掛けるのぉ~。」

とワンスロット王。


「うむ。確かに凄い作戦だ。私もこれに大賛成だ! しかし、飛行機は何機各国に回して貰えるんだろうか?」

とエルフ王。


「一応、今のところ、各国に50機派遣する予定でおります。シートを変えれば、現在39名搭乗仕様ですが、快適性を無視すれば、72名~96名ぐらい乗れそうですし。」

と答えると、


「「その飛行機、是非50機売ってくれ!!!」」

と2人の王がハモった。


「うーーん・・・どうするかなぁ。本当はあまり軍事使用はさせたくないんですよね。これを使えば、簡単に侵略戦争起こせますし・・・。条件付きで良ければお売りしても良いですよ。」

と考えた末に言った。


「つまり、条件とは、無闇に侵略戦争には使わない。もし目に余る様な状態であれば、いつでも当方のブラックボックスで飛行停止が行えると言う条件です。勿論、防衛戦は使用して構わないですよ。」

と言うと、


2人の王は、

「「勿論だ!で、価格は?」」

と即答。


「うむ・・・1機、黒金貨1枚。但し、パイロットの養成代金は今回はサービスとさせて頂きます。と言う条件でどうでしょうか?」

と打診すると、2人共に快諾。


「では、今回の打ち合わせ以降に、トリスターでパイロットの養成を行いますので、取りあえず、100名を選抜して下さい。各国25名づつ講習を行います。期間は各3日間ぐらいで大丈夫だと思います。それを4回やれば、正、副、各機2名のパイロットで運行出来ますからね。

あと、もう1つ。航空上のルールは当方で決めさせて頂きます。これは空を安全に飛べる様にし、事故を無くす為です。ご了承下さいね。」

と締めくくった。



結局その後、王家用の専用機も欲しいとの事で、通常仕様の機体も、1機づつ追加となった。


エルフの王様と通信機(既にサチーさんから購入していたw)と番号を交換し、海渡らが参加する会議はお開きとなった。


ちなみに、炊飯器を見せると、滅茶滅茶食いつかれたので、1つは進呈し、追加はサチーさんに注文してね! と丸投げする事にしたw


ワンスロット王ご一行様は、あと2日程、この城にお泊まり予定らしい。


その流れで、海渡らにも、猛烈に泊まっていけ! と熱烈に言われたのだが、そうすると、丸っきり食い道楽が出来ないので、丁重にお断りし、明日からの2日間、海渡らは自由行動を確保したのだった。


帰り際に、エルフ王から、

「あ、そうそう、忘れてた。ワイバーンの件で、冒険者ギルドにも寄ってね。討伐報酬出るからね。」

と言われ、

「あれ?依頼を受けた訳じゃないし、素材も売る予定じゃないけど、良いのかな?」

と疑問を口にすると、


「ああ、特に直接的な被害が出る所の災害級だから、ワンスロット王と話し合って、緊急依頼扱いになるように、統括マスターのヘンリオットには伝えてあるから大丈夫だよw」

とエルフの王様のお言葉。


「そうですかw では、ありがたく頂きますw」

とニコニコ笑う海渡だった。

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