第215話
午後からは、フェリンシアは託児ルームへと向かい、海渡は地下工房で更に飛行機の増産と、管制タワーと格納庫の増産を行う。
飛行機を20機増産し、一休みした後は、管制タワーや格納庫をドンドン増産する。
夕方の5時前まで、一心不乱に建設した結果、アイテムボックスの中には、管制タワーが215個、格納庫が280棟入っていた。
棟梁側を見ると、既に店舗セットが完了していたので、新しい店舗セットと交換し、鼻歌混じりで1階に上がると、外はかなりの豪雨が降っていた。
「ここまでの豪雨って、ここに来て初めて見るな・・・」
と外の状況を眺めなら言うと、
「ああ、そうか、海渡様はこの季節のトリスターは初めてでしたね。トリスターでは12月の初旬から雨季で、結構雨が続くんですよ。」
と通りがかったスタッフの1人が教えてくれた。
「ああ、なるほど、そうなのか。雪とかも降るの?」
と聞くと、1月には時々降る事があるらしい。
お礼を言って、スタッフと別れ、フェリンシアに伝心で気になった事を聞く。
『ねえ、フェリンシア! 今外は凄い雨なんだけど、フェリンシアのお母さんは、何処に住んでるの? まさか、ユグドラシルの下でそのままとか?』
と聞くと、
『ええ。私達は基本的に外で生活してますからね。まあユグドラシルの木があるから、そこまで濡れる事はないんですが、冬はやはり少し寒いですね。』
との事。
『え!? じゃあ適当なサイズで家を建てて持って行こうか? 風呂付で』
と言うと、
『ああ、それは喜ぶと思います。お母さんも人化出来るから、普通のサイズで大丈夫だと思いますよ。』
との事。
『了解!』
と伝心を切り、再び地下工房で2LDKサイズの小屋を作成する。
ドアとかは古い屋敷のを流用する事にした。
風呂も装備して、照明を付け、エアコン、空気清浄機等も完備した。
キッチンも何かで使うだろうと、一通り揃えてやる。
6時過ぎに、窓まで嵌め終わって完了し、アイテムボックスに格納する。
急いで大食堂でフェリンシアと合流し、
「家、完成したから、後で設置しに行こうよ!」
と告げる。
夕食を食べ終わると、ヨーコさん、オスカーさんに、明日からの3都市遠征の打ち合わせを行い、ヤバい領主の居ない他の都市の件は、2人に仕切りをお願いし、作成済みのビーコンを大量に渡す。
それぞれに番号があるので、これをリストに記載している番号と同じ都市の城壁に取り合えず起動させる様に指示する。
「あと、それ以外の集落とか見つけたら、臨機応変に塩を売って良いからね。」
と伝えておく。
時空間倉庫経由で、王都支店から海渡の分の書類を受け取り、部屋へと戻った。
フェリンシアと2人でゲートでユグドラシルの下に出ると、フェリンシアのお母さんが居た。
「お久しぶりです。」
と挨拶をする海渡。
「おお、久しぶりじゃのぉ。元気そうで何よりじゃw」
とお母さん。
フェリンシアが、
「海渡が、お母さんの家を作ってくれたので、持って来たのです♪」
と言うと、
「ほう、家か! それはこれからの季節、嬉しいのぉ。」
と早々と喜んでいた。
取り合えず、食べ物を出して、食べてて貰う間に、ユグドラシルの横に土台をカッチリ作って家を設置した。
フェリンシアに急かされ、人化し、家の中を案内したら、風呂を見て大喜びしていた。
更にベッドを見て、
「おお、これがフェリンシアから聞いたベッドか。」
と、寝心地を確かめたりしていた。
色々な魔道具の使い方などを教えて、1時間半ぐらいで部屋に戻った。
明日からに備え、ゆったりと風呂に入る。
展望風呂の窓には大粒の雨が当たっている。
「この雨季ってワンスロット王国全国的な物なの?」
と聞くと、
「いえ、この時期に雨季に入るのは、最北端であるトリスターだけですね。」
との事だった。
「ふむ。じゃあ、他の所は別の時期が雨季なの?」
と聞くと、
「徐々に南下していく感じで雨季が遅くなる傾向ですね。」
と教えてくれた。
ちなみに、この世界の雨具は、レインコート的なマントやポンチョしかない。
しかも、防水と呼べる程の効果が無いので、結構直ぐに浸みて来る。
なので、フト思いつき、風呂上りに地下工房へと舞い戻る。
マントとポンチョの2種類を生産するラインを40機作成し、子供用と、大人用のS、M、L、LLサイズの4サイズを量産させる様にした。
但し生地はテントに施したのと同じ、光魔法のコーティングを施し、完全に防水してある。
子供用を纏って外に出てみたが、10分以上居ても、内部は爽やか(←爽やか効果も付与してある)
「これは良いなwww」
とほくそ笑みつつ、屋敷へと戻る。玄関の屋根の下で、軽くジャンプしただけで、全ての水が落ちて、完全に乾いた状態になった。
「我ながら、凄い撥水効果だなw」
と脱いでアイテムボックスへと収納する。
ラインを工場へと移し、ダスティンさんへの指示書とオスカーさんへの指示書を残す。
「この季節商品は売れる事間違いないなww」
部屋に戻ってフェリンシアのマントも試着して貰い、サイズに問題が無い事を確認した。
「色は赤にしてみたんだけど、赤頭巾ちゃんみたいで可愛いなw」
と褒めると、
「ありがとうございます。」
はにかみながら、お礼を言われた。
まあ、フェリンシアはフェンリルだけに、狼に食われる心配は無いwww
そして明日に向けて眠りにつくのであった。
余談ではあるが、このマントとポンチョの雨具は、一大ブームをこの後引き起こす。
今まで皆が諦めていた完全防水に加え、爽やか仕様、雨季の到来と相まって、凄まじい勢いで売れるのであった。
そのブームは、雨季がズレて他の都市へと向かうごとに、徐々に南へと南下して行くのであった。
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