第103話

 異世界1ヵ月と2日目。コーデリア王国の王都2日目の朝。


 朝から美味しい和食朝食セットを頂き、ドロスさんから預かったサンドラさんへの手紙と、サチーさんからも手紙を預かった。


 本日、午後には、こちらを出て帰ると伝え、またちょくちょく遊び(食べ)に来ますよ!と挨拶をし、商会を後にした。


 何か、ラノベで出て来る神経質なエルフのイメージと違って、取っつき易いなぁと・・・

 まあサンドラさんの周りだけかも知れないけど、ラーメン屋の屋台のおっちゃんとか、寿司屋のエルフ大将とか・・・エルフって言われないと、判らないぐらい、普通のおっちゃんだったしwww

(まあ、耳が見えなかったけど、あの衛兵はエルフのイメージっぽかったよな・・・)


「さて、今日は帰る訳だが、フェリンシアは何か食べ残した物ない?」

と聞くと、


「前に海渡から聞いた、天丼ってのを食べてませんね。」と。

 ああ、天丼!!!! すっかり忘れる所だったよ。 ありがとう! とお礼を言って、天丼の店を探す。


 朝っぱらから、「天丼、天丼」と目の色を変えて探す人族の5歳児ご一行を、町の人達が生温かい目で見守っている。


 ちなみに、海渡は知らなかったが、人族の幼児が、もの凄い勢いで、食い物なんかを、怒涛の勢いで爆買いしている・・・という話で持ち切りだった。


 見かねた人(エルフ)が、

「坊主、天丼なら『天ハチ』がお勧めだ。 しかし開くのは昼からだな。 誰も朝から天ぷらは食わねーしww」

と教えてくれた。


「おう・・・そりゃそうか・・・」

と崩れ落ちる5歳児。


「まあ、他にも海鮮丼とかあるからよ! 気を落とすなよ!」

と励まされた。


「おお!海鮮丼!!! 何処がお勧めですか?」

と食いつく海渡。


「お、おお、海鮮丼なら、『シーパラ』がお勧めだ! あそこなら8時にはオープンするから。」

と場所を教えてくれた。


「おじさん、ありがとう! フェリンシア、朝は取り合えず、海鮮丼、昼が天丼って事にしよう!」

と、シーパラを目指す。


 シーパラ発見しました!


 そしてシーパラに入り、早速海鮮丼を2つ注文。


 サクッと出てきた海鮮丼・・・いただきます! と、箸を取り、ワサビ醤油を準備する。

 醤油にワサビを溶いて 上からかけるのが海渡の好みだ。

(本当はつけながら食べる?)


 お箸を使って海鮮丼を掻き込む。


 ああ、やっぱり日本人でよかった・・・異世界万歳! と心の中で、極旨の海鮮丼におお喜び。


 フェリンシアもお箸の使い方をマスターしてて、今では普通にお箸で食べられるようになっている。


 2人とも朝食を食べた後なのに、海鮮丼もサラッと食べ終わった。

 そう言えば、内陸部なのに、どうして新鮮な魚あるんだろうな? とちょっと不思議に思い、店の店員のおねーさんに聞いてみた。


 すると、内陸部ではあるが、海と海底で繋がっている塩湖が王都の近くにあって、そこでは養殖が盛んらしく、新鮮な魚が王都でも楽しめるらしい。


「マジか! すげーなコーデリア王国」

と呟く海渡。


 魚も買って行くか・・・と思い立ち、ご馳走様!と店をでる。


 魚屋を探し、気持ち控え目に数店で分散しつつ購入。

(本人は、控え目のつもりだったが、実際は・・・)


 魚屋での買い物が終わる事には、時刻は11時。

 約束したラーメン屋のおっちゃんの所に行くと、スープの寸胴と、麺を200食分、チャーシューも200食分、そして金貨1枚じゃあ、多すぎるからと御釣りをくれた。


 おっちゃんに、お礼を言って、天丼の『天ハチ』を目指して移動する。


 店はオープンしてた。

 早速店に入り、天丼を2杯注文する。

 すると、すぐに天丼2つが出て来る。


 美味しそうな衣サクサクの天ぷらに醤油ベースの甘辛いタレ。

 いただきますと手を合わせ、天ぷらと、タレが掛かったご飯とのハーモニーを堪能する。


「「美味い!!!」」

とフェリンシアとニッコリ笑いながら、その後は黙々と完食。


 店の人を呼んで、天ぷらと天つゆのお持ち帰りが出来ないか、熱烈に交渉すると・・・

「いや、揚げたてじゃないと、美味しくないから」

と断られる。


「うん、そうだよね。天ぷらは揚げたてだよね。 でもアイテムボックスで持ち帰るから、中は揚げたてのままです!」

と食い物の為に、秘密をアッサリ漏らす。


「え?マジ?」と店員。


「そ、マジ」と出し入れして見せる。


 店員が厨房の店主に交渉してくれて、無事に30食分をゲット! お金を支払って、店を後にした。


「他に買い残した物は無いかな?」

と街中をウロウロしながら、見て廻る。


 そして、南門に到着。


 出る際には、特に問題無く、出る事が出来た。


「いやぁ、この2日間、食ったねぇwwww」

と笑いながら、南門から離れ、影に隠れてゲートをトリスターに繋ぐ。


 トリスターの南門付近の陰から、海渡とフェリンシアが出て来た。


「美味しかったね、また行こうね!」

と2人で話しながら、南門に到着したのだった。


 『ああ、女神様!! これでこの世界でも生きていけそうですww』

と海渡は心の中で、女神様にお礼を言うのであった。


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