第33話

 ちょっと開けた原っぱかと思ったら、直径50mぐらいの原っぱと言うか、お花畑でした。

 そして、奥には、綺麗な水が湧き出てる泉があって、最高のロケーション。


 なんて言うのかな? そう空気が澄んでるというか、清らかと言うか、そんな感じを感じる場所。


 泉の傍にテントを建てて、お風呂は泉を汚さないように、少し離して設置して、まずは食事の用意。


 泉を鑑定すると、

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 水精霊の泉

 説明:水精霊が愛する清らかな泉。

    水に若干の回復効果がある。

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って出ました。凄いね。


 一口味見してみたんだけど、すごく美味しい水でした。

 だから、急遽、土魔法で大き目の壺を10個作って、水を確保。


「と言う事で、せっかくなので、この泉の水を使った料理を作ろうと思います。」

と腰に手をやり、胸を張って宣言。


 まだノープランなんだけど、水を使う料理と言えば・・・シチュー、スープ、鍋物、豆腐、みそ汁、、とかかな?

 鍋と言っても、大食いの片がいるから、具沢山シチューとかの方が良いか。

 取り合えず、寸胴に泉のお水を入れて、出汁替わりの綺麗に洗ったオークの骨を折って入れ、香草も数種投入。塩を少々。

 そのままゆっくり1時間程弱火で煮込む。途中何度も丁寧に灰汁を取って、最後に骨を取り出す。


 今度は皮を剥いて切ったジャガイモと、ニンジンと茸数種を投入。何回かに分けて、フライパンで軽く炙ったぶつ切りのオーク肉も寸胴に投入。

 既に辛抱溜まらんと仰る子に、干し肉と果物で、気を紛らわして頂きつつ、料理酒替わりの日本酒を適量投入。隠し味になればと、醤油も少々。

 更に胡椒と塩で味を調え、更に煮込む事30分。

 ジャガイモが少し溶け込み、とろみがついた具沢山シチューモドキが完成しました。


 まあ、材料が少ないから、これで、勘弁して欲しい。

 味見はしたけど、不思議な事に、クリームシチューとは違う、コンソメ系の具沢山スープみたいな感じで、これはこれで絶品。


 物足りないだろうフェリンシアには、オークステーキも3枚ぐらい焼き、毎回同じ味だと飽きるだろうと、ステーキ用にはブドウを使ったステーキソースを作っておいた。


 ≪ピロリン♪ スキル:料理Lv2を取得しました。≫


 さっそく皿に取り分けて、「いただきます。」


 グレープソースをかけた、ステーキも、シチューモドキも大好評で、寸胴の半分を完食。

 食欲は昼程ではなく、少し落ち着いたらしい。

 今度はタレ焼きにも挑戦したい。日本酒と醤油と砂糖あるから、何とかなるかな?


 手早く片付け、風呂の準備。せっかくだし、贅沢に泉の水を使ってお風呂を魔法で沸かす。

 フェリンシアもイソイソと人化して、「さあ、洗え!」とばかりに仁王立ちするので、風呂用の腰掛を作って頭と背中を洗ってやる。


 計算外だったのは、今朝の成長で、昨夜は同じ5歳ぐらいだったフェリンシアが、急に10歳ぐらいに成長していた事。

 前は自分で洗いなさいと、泡立ったタオルを渡し、俺は俺で頭と体を洗う。

 なんか、イケない世界に足を突っ込んでいるようで、ハラハラしました。


 湯船に浸かり、ゆったりと星空を眺める。

 泉の水で沸かしたお陰か、今日のお湯は銘泉です。

 一日の疲れ(と言う程疲れてないのだが)を癒してました。


「ねぇ、これなあに?」

と声が聞こえ、振り向くと、光を放つ、手のひらサイズの人の形に4枚の羽が生えた生物?が居ました。


「へっ??? あれ?もしかして精霊の方ですか?」


「そう、私は水の精霊なの。そちらの女の子はフェンリルでしょ? あなたは、人間の子供に見えるんだけど、不思議ね。なんか色々凄すぎる感じだし、女神様の神気も感じるし。」


「あ、俺、冴島海渡って言います。 訳あって、地球って所から女神様にこちらに送って頂いた、異世界の者です。」


「あら、精霊さん、こんばんわ! 私は海渡からフェリンシアって名前を貰ったの。よろしくね!」


「素敵ね、名前のあるフェンリルなんて珍しいじゃない。 良いなぁ、海渡、私も何か名前付けてよ!」

と仰る精霊さん。


「えー? 俺、ネーミングセンス無いんですけど・・・じゃあ、ちょっと考えるから時間ください。」


 さーて、困ったな。ゆったり、微睡んでる場合じゃなくなっちゃたよ。

 えーっと、水の精霊さんだよね。 アクア・・・ベタだな。 水・・・泉・・・ピ〇子・・・ダメだ、変なループに入ってる。

 水・・・青・・・ブルー・・・青・・・青い・・・葵・・・紺碧・・・アジュール・・・ラピスラズリ・・・ラピス


「えっと、気に入るか判らないんですが、ラピスなんてい如何でしょうか?」


「へー、ラピスか、ありがとう、気に入ったわ!」


 ≪ピロリン♪ 新しい称号:精霊の友 を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 新しい称号:水精霊の名付け親 を取得しました。≫


「で、これってなーに?」


「ああ、これは、お風呂っていって、暖かいお湯につかって、体を綺麗にし、疲れを取って、心を落ち着かせる効果があるんだよ。 特に今日はあの泉の水を別けて貰って沸かしたから、凄い効果だよ。ありがとうね!!」


「へー、お風呂って言うんだ。私もちょっと入って良い?」


「どうぞ、元はラピスの泉のお水だし、遠慮なくどうぞ。」

と掌を差し出す。


 チョコンと座った精霊を乗せた掌をゆっくり沈めると、

「あぁぁ~」

とラピスは感嘆のため息を漏らす。


「お風呂って良いわね! 気に入ったわ! 契約してあげる!」

と勢い良く、自信満々に言う。


「契約って?」


「あら、海渡凄いじゃない♪」

とフェリンシア。


「ああ、そうか。あなた異世界人だから、知らないのか。良いわ、特別に教えてあげるわ。・・・」


 つまり、この世界では、精霊と契約すると、精霊の加護を貰い、魔法量が増加し、その属性の魔法を利用する場合は、威力や効率が増す。

 更に、遠く離れていても、水のある場所なら、いつでも契約精霊を呼び出せる。

と・・・。


「なるほど。俺は嬉しいけど、良いのかな?」


「素敵な名前も付けて貰ったし、お風呂も気に入ったし、特別に良いわよ」

と頬を赤らめ、横を向く。


「じゃあ、これから宜しくお願いします。」

と海渡が答えると・・・


 ラピスはお湯から出てフワリと飛んで、海渡のほっぺにキスをした。


 ≪ピロリン♪ 加護:水の精霊王の加護 を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 新しい称号:水の精霊王の契約者 を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 魔法:水Lv10を取得しました。≫


 そして、ステータスを確認してみる。


『ステータス』

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 名前:(冴島海渡(仮))

 年齢:5歳(27歳)

 種別:人族(+α)

 職業:(テスター)(考古学者)

 Lv:20

 HP:17582/17582

 MP:17576/32578

 筋力:23482

 俊敏:10486

 武術:剣術Lv10 槍術Lv10 忍術Lv10 体術Lv10

 魔法:火Lv4 水Lv10 風Lv3 土Lv2 光Lv2 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:鑑定Lv3 アイテムボックスEx 言語理解Lv10 経験値増加

     スキル取得補助 隠密Lv6 気配感知Lv7 女神の知恵Ex 料理Lv2

     魔力感知Lv5 魔力操作Lv4 3DレーダーマッピングLv6

     多重処理Ex 身体強化Lv3 魔法付与Lv2 魔力吸引Lv1 ロックオンLv1

     伝心Lv2 ネットリンクLv1

 称号:武術マスター(異世界の訪問者)(神々の使徒)(インテリ筋肉)

    (冒険に童貞を捧げし者) オークの天敵 オーク・キングの悪夢

    火事場泥棒 蟻の天敵 キラー・アンツ・クィーンの悪夢

    異世界からの魔道具マイスター 付与魔法の異端児 リザードマンの悪夢

    聖獣の友 フェンリルの名付け親 異世界の魔法具現者 精霊の友

    水精霊の名付け親 水の精霊王の契約者

 加護:水の精霊王の加護

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 うっはーー、MPと水魔法の底上げが凄いな。


「ステータスが凄くあがってるよ。 本当にありがとう。」


 お風呂から上がり、湯船をアイテムボックスに収納して、テントに入る。

 と、何故か人化したままのマッパのフェリンシアも一緒にテントに入ってきた。


「え? フェリンシアもここで寝るの?」


「だって一人だと寂しいじゃない? 私が・・・」と。


「じゃあ、判った、せめて何か洋服を着てくれるかな?」


 幾ら5歳児の体でも、流石に10歳の体の女の子と一緒はマズイ。しかもマッパは確実にアウト。


「私、洋服持ってないの。 何か貸してくれますか?」


「そりゃそうか・・・ ちょっと待ってね。」

とアイテムボックスからバックパックを取り出し、元の体の時のTシャツと短パンを取り出した。


「それを取り合えず、上げるから。大きいと思うけど、短パンは紐で調節も出来るから、取り合えず履いておいて。」


「町に付いたら、フェリンシアの洋服一式そろえようね。」


「うん、楽しみにしてる。」



 ちなみに、人化したフェリンシアの外観だが、髪の毛は純白で、色白の透き通る素肌。目は青く、唇はふっくらとしたピンク色。最初の5歳児ぐらいの時は、完全な幼児体系の可愛い子だったのだが、現在の10歳児バージョンでは、スラっと伸びた足と手。若干膨らんだ胸とくびれが出来たウエスト、白桃の様なお尻と、完全に美少女コースに突入している。


 そっちの趣味は無く、真っ当に成熟した成人女性が好きな海渡であったが、幾ら5歳児の体であっても、自分的にも社会的にもアウトだと思った。


 おいおい、人の常識を教えていかないとな・・・と、心に誓うのだった。

 シールドの魔道具と、エアコンの魔道具を起動し、寝袋に入る・・・。

 と、フェリンシアもくっついて入って来ちゃった。寝袋を買うまで、取り合えずしょうがないと諦め、眠りにつく。




 さて、この夜中にちょっと面白い事があった。


(≪ピロリン♪ 加護:女神ジーナの加護 を取得しました。≫)


 精霊のしかも精霊王の加護を貰った事を知り、焦った女神ジーナが、慌てて無理矢理自分の加護を付けたのだ。

 この世界では、主神たる女神ジーナの加護を持つ者は居ない。


 眠っている間だったので、海渡は気づいてなかったが・・・。

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