第5話 大介(前)

 俺の名前はダイスケ。

 年齢は30才。

 職業は喫茶店のマスター。

 先代のマスター、俺の親父が早くに亡くなり、家業を継いで母と店を続けている。


 弟が一人いる。名前は涼太。

 歳が離れてるのもあり、ケンカもしたことないかわいい弟。

 そんな弟が病気になり、手術の最中、親父の夢を見て、大介は自分の幸せを見つけるようにと言ってくれたらしいんだ。


 あれから数年。

 親父。

 俺は変わらない毎日を過ごしているよ。

 言いたいことがあるのなら、俺の夢に出てきてくれよな。

 それに俺は今も幸せだよ。



「大介さーん、オレの話聞いてるんすかー」

 店の常連で弟の友達の翔だ。


「聞いてるよ。

 でもさ、俺は今、羽根ちゃんの留学おかえりなさいサプライズパーティの準備で忙しいわけよ。

 かけちゃんも準備手伝わないなら、涼太と

 一緒に羽根ちゃんの迎えに行けばよかっただろ。」


「大介さーん!

 そんな冷たいこと言わないでくださいよー

 オレだって、一生懸命やってるんすから!」


「本当は行きたかったんじゃないの?」


「行きたかったに決まってるじゃないすか!何なんですか?今日意地悪ですよね!?」


「ゴメンゴメン。

 お前はそういう奴だったよね。

 涼太の友達でいてくれて、ありがとう。」


「だから、何なんすか!?急に!

 それに大介さん、優しすぎなんすよ。

 運転できない涼太を成田まで送ってて、羽根の荷物を車に積んだら、あとはふたりでゆっくりして来るように言って。

 それで、今サプライズパーティの準備してるって、優しすぎなんすよ。何回も言うけど。

 惚れてまいますよ。」


 翔がいつものように喋り倒していると、翔のスマホの着信音が店内に鳴り響いた。

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