第28話 目立ちたくない

次の日、私は再び依頼主のもとを訪れた。


「また来てくれてありがとう」

おじいちゃんは嬉しそうだった。


「実は今日ね、おじいちゃんに良いものを持ってきたの」

「いいもの?」

「うん。これなんだけど」


私は手提げ袋から大きな木製の盤を取り出した。


「これはオセロっていうゲームなんだけど・・・」


その後私はルールを説明したあと、何戦か交えた。

結果は全敗。おじいちゃん強すぎ。


「これなら友達とも簡単に遊べるし、わざわざギルドに依頼しなくても大丈夫じゃないですか?」

「そうじゃな。ありがとう。さっそく近所の友達と一戦交えてくるかの」


おじいちゃんは盤と石を抱えてさっそうと家を出て行った。


オセロを思いついたのも、私が前世でラノベの転生ものを読みまくっていたおかげであった。


「ありがとうラノベ。ありがとう前世の私」


足軽く、私はギルドへと戻っていった。




それから一か月がたったころ、私の町でもオセロが流行りだした。


「これはモモコって人が考えたゲームらしいぞ」

そんな噂があちこちで流れている。


これはまずいことになった。私は舌を噛み締める。


こんなに大流行している遊びを、国が、王様が見過ごすわけがない。


私のギルドへ都から使いがやってくるのも時間の問題である。


バラガンの顔を拝みに都へ行ってもいいが、今はまだ早い。

力を蓄えてから、せめて魔法学校を卒業してからではないと。


それまでは目立つことなく行動しなければならない。

それに私の性格上、目立ちたくない。



そんなことを考えていると、私の名前を呼ぶ声がした。


振り返ると、ギルド長が手招きをしていた。










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