第24話 個人的興味
ギルドへ戻って、報酬を受けとった後、私は再び店主のいる町を訪れた。
これは依頼ではない。個人的興味からだ。
最後に店主と会ってから二週間がたっていた。
私はまず町の中心部に向かった。他の店の状況を見たかったからだ。
「あっ・・・」
ほとんどの店もシャッターが閉まっていた。かろうじて営業している店もあったが、客は全く入っていなかった。
私の予想していた通りになっていた。それも悪い方に。
その後、町を歩き回り、私はようやく目的の店を見つけた。看板には大きく、竜の肉と書いてあった。
店は大繁盛しており、店の外にも長い行列が出来ていた。
「どうやらまだ竜の肉のからくりには気づかれていないみたい」
そっと胸を撫でおろす。
店内を見ると、派手おばさんと店主がいた。それに店員も何人か雇っているみたいだった。
「いつまで続くかな・・・」
私が店を離れようとした時、店の裏口から店員が一人出てきたのが見えた。手には袋を持っている。
ゴミでも出しに行ったのだろうか。しかし、ゴミにしては少量すぎる。それにこんな忙しいときに店を離れる意味がわからない。
その時、私の第六感が何かを感じ取った。
私はその店員の後をつけることにした。するとその店員は誰かと会っているようだった。相手は男だ。
「これは・・・密会・・・」
私は固唾を飲んで、物陰から密会の様子を見ていた。
「これが例のものです」
店員の彼女は、持っていた袋を男に渡した。袋からは水滴がしたたり落ちていた。
「誰にも見られていないだろうな?」
「はい、大丈夫です」
男は袋の中身を確認する。
「これか。わかった。また何かあったら連絡する」
そうして二人は反対方向へと歩いて行った。
二人がいなくなったのを見てから、私は二人がいた所に近づいた。
「袋から漏れていたものはなんだったのだろう」
地面を見て私は気づいた。それは真っ赤な血だった。
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