獅子奮迅
「みんな!シャナンを守れ!」
トーマスの掛け声と共に一斉に駆け出した。
「どけ、こら!この野郎!」
ルディが何処からか拾った材木片を
シャナンの威圧で呆けていた
「……ギ!」
意識を取り戻した
「バカ!ルディ!何やってるのよ!」
「げッ!すまねぇ!」
自身の失態にルディが慌てふためいた。だが、その失敗をフォローするためか傍には息を整えたカタリナが静かに魔法を詠唱していた。
「……世界に
魔法触媒に魔力を乗せ、カタリナが
瞬間、その身が炎に包まれる。
「ギャーーーー!」
“ザクザクザク”と肉を貫く音が地下に響く。声も出さずに
これで
「シャナーーーン!」
トーマスの怒声が響く。
“少女を守る。それが我が役目”……トーマスの目に曇りはない。ただ一点、救世主である勇者のために邁進する。
ドス…という鈍い響きが聞こえる。
何もない……シャナンが恐る恐る目を開けると、トーマスが自分に覆いかぶさっていた。
「ト…トーマス?」
「グッ、シャナン。無事でよかった…」
トーマスの肩に
シャナンが泣きそうな声でトーマスに話しかける。
「トーマス……血が……血が出てるよ…」
「フフ、これくらい何でもありません。あなたが無事なら容易いことです」
トーマスは強がりを言ってシャナンを励ます。だが、その顔は見る見る内に青ざめていく。シャナンは自身の不甲斐なさを恥じると共にトーマスの体調の激変に軽く
「だ、だれか!助けて!ト、トーマスが!!このままじゃトーマスが死んじゃう!」
「バカ!トーマス!何やってるのよ!早く血を止めないと!」
セシルがトーマスに駆け寄ろうとするが、
弓使いのセシルは重厚な斧を受け止める術もない。腰に掛けた短剣を咄嗟に抜き出し、受け止めるべく構える。しかし、
その時、ルディがセシルと
「させるか!」
「ギ!」
ルディが横合いから剣を突き出す。斧と剣が交差し、金属の擦り合う音がする。軌道から逸れた斧は空を切る。だが、返す刀で
ルディは両手で剣を持ち、斧を受け止める。硬い金属のぶつかる音がこだまする。ルディと
「ギ、ギギギ…」
「ぐ、ぐ、ぐ、こ、この野郎…!」
だが、
「ギヒヒヒ…」
「に、にやけてんじゃ……ねぇ!」
ルディが
足の甲は痛覚が集約する危険な箇所だ。脂肪で覆われず、衝撃がそのまま骨や肉に響く。靴などの防具で保護しなければ非常に弱い箇所なのだ。
「ギャア!」
激痛で
「足元がお留守なのはいただけねぇな、赤帽子さんよ!」
“ブスリ”
怯んだ隙にルディの剣が
「ルディ!よくやったわ!
「バカ言え。実力だよ実力。この数日でのレベルアップが効いたんだよ」
勝利に沸く二人の背後の階段から幾重かの影がちらつく。
「………そんな……!」
カタリナが悲鳴に近い声をあげる。カタリナが指差す先を見ると、
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