「何やってるんですか陽介さん!!行きますよ!!」
俺達は一緒に早めの昼食を取る事にした。
昼食を取りながらレジーナパーティの話を聞いたのだが、おまわりさんを呼びたくなった。
ふざけるなよ、と。
声を大にして叫びたい。
どうやらレジーナとアルバートは恋人同士らしい。
同じ村出身の幼馴染らしく、三ヵ月程前に冒険者となったようだ。
なんだよそれ!?
これ詐欺だろ、パーティの募集分に
『なお、当パーティの女性メンバーの内一人は彼氏がおります』
って書いておけや!
完全に詐欺だ、受付嬢にクレーム言ってくるか。
このパーティはもう抜けたほうがいいな。
おっぱいが既に予約済みだなんてふざけた話だ。
と思ったのだがローラちゃんが「バカなこと言わないでくださいね?」って顔で見てくる。
どうしたものか……
〈お前は愚かだな、ここ以外に入れるパーティがすぐ見つかるのか?〉
それもそうか……
仕方がない。巨乳のレジーナは諦めよう。
せっかく入れてもらったパーティだ、しばらくローラちゃんをペロペロしながら居させてもらうか。
レジーナは『戦士』
装備は細身の片手剣をメインにショートソードも持っている。
スピードで戦うタイプの戦士らしい。
対してアルバートはパワーで戦うタイプの『斧術士』である。
斧を振り回し正面から戦うタイプで、タンク役。
斧は盾としても使えるらしい。
これまでは正面にアルバート、横からレジーナの戦士二人パーティで冒険者をしていたものの、やはり二人では安全面に不安があり、受けれらる依頼も少ない。
王都で募集をしようと思っていた所、道中でローラと出会いパーティを組む、そして王都に到着。
それがこれまでの流れのようだ。
ローラは人気職の『治療術師』なのだが、『読心』の能力で相手の考えている事が多少なりとも読めてしまう。
ローラはかわいい。それ故に男の下心まで読めてしまう。
下品な妄想をする男ばかりで、良いパーティには恵まれなかったらしい。
そこに既に恋人同士のレジーナとアルバート。
お互いがお互いを大切に思っておりローラにもそれが伝わりここならば!と思ったらしい。
なるほど。
俺が卑猥なことを考えまくったらローラちゃんに追い出されるんじゃないか?
気をつけないとな。
…………おっぱい
「陽介さん……」
ローラちゃんがちょっと怒っている。
これすごいな。合法的にセクハラしているようなものだ。
やみつきになりそうだ。
俺の事情もレジーナ達に話した。
元々後輩、よつば達とパーティを組んでいたが、現在は別の依頼でよつば達がいない事。
その依頼というのが王国からの依頼で魔術師団を襲っているヤツらを討伐する事。
終わって戻ってきたら…… いつになるかわからないが、元のパーティにおそらく……
戻してくれるなら戻る事を話す。
また、そういった情報があれば追う事を考えていることも伝える。
一応、『身体変化』というスキルも使えることを話しておいた。
戦闘に関することだしな、何かあってからでは遅い。
俺が『身体変化』を見せると当然驚かれた。
その代わり魔力がないからどんな些細な魔術も使えない、魔力を使うカンテラですら灯をつけることすらできない事を伝える。
お互いの自己紹介が終わった俺達は早速狙っていたという依頼をレジーナが持ってきた。
「これこれ、『索敵』持ちのメンバーを探していたのはさ、道中の安全面の事もあるけど、これを受けたくてさ」
そう言って見せてきた依頼書にはこう書かれていた。
依頼内容:トーションプロクスのトーション採取
依頼人 :ポリン
受注制限:なし
報酬 :トーション一つにつき 800G
依頼者から一言:薬草に使うトーションが欲しいのですの。いくらあっても困りませんの。探すのは大変ですの。その分報酬も頑張りましたの。お願いしますの。
トーションがなんなのかはさっぱり分からないが一つで800Gって高いな!?
それから依頼主は絶対にかわいい。
もしくはアホだ。
文章からそのかわいらしさとアホさが滲み出てる。
かわいらしいアホかもしれん。
会いたい。
「……陽介さん?」
またローラだ。
困ったものだ、ローラは俺の事考えている事読みすぎじゃないか?
俺の事好きなのかな?
ローラは困ったような顔をしている。
「レジーナ、このトーションっていうのは何?」
「これはね、魔物に生えている薬草なんだよね。その魔物がトーションプロクス。なかなか見つからないのさ」
「そういうことか。生息している場所さえわかれば俺なら見つけられそうだな」
アルバートがガシィ!!と俺に肩を組んでくる。
「お!さすがじゃねーか!!いやー、ほんと『索敵』スキルうらやましいな、冒険の安全度が段違いだからなぁ、頼りにしてるぜ陽介!」
「暑い!! まぁたぶん大丈夫だと思うけど、戦闘はあまりうまいほうではないから大目に見てね」
「よし、じゃあみんな! 早速だけど依頼受けて来ちゃっていいかな?」
レジーナがメンバーに声を掛ける。
もちろん俺は異論なし。
アルバートもローラも異議はないようだ。
確認をしたレジーナは早速受付嬢の元に向かった。
〈おい。一応報告しておこうかと思うが聞くか?〉
ん? なに?
〈まぁ、たいしたことではない〉
なんだよ、溜められると気になるじゃん、言って。
〈うむ。 三人組でギルドに入ってきた連中だが、何者かと交戦しているな〉
「な!?」
ついつい大きな声を上げてしまった、俺の声を聞いた二人は驚いている。
「ど、どうした!?」
「どうしました!?」
言うべき……だよな。
「このギルドに入ってきたあの三人組が何者かと交戦中だ」
「どういう事だ!?」
丁度依頼を受け終わったレジーナが戻ってくる。
「陽介、何があったの?」
「近くであの三人組が何者かと戦っているみたいだ」
「え!? 行かなきゃ!!」
レジーナは腰の剣を確かめると一目散にギルドを飛び出していく。
「待て!レジーナ!!」
すぐにアルバートとローラも後を追う
仕方ない、俺も行く?
「何やってるんですか陽介さん!!行きますよ!!」
ローラに言われて慌てて後を追う。
レジーナどこ行ったんだ?
場所わからないだろ。
外に出るとレジーナとアルバートが戻ってきた。
「「どこだよ!?」」
だよな。
こいつらアホの子だな。
よし、行くか。
オセ!! 場所を教えてくれ!!
〈うむ。吾輩の指示通り進め〉
「こっちだ、ついてきてくれ」
俺を先頭に街中を全速力で走る。
レジーナ達はまだしもローラちゃんはついてこれるか?
「もっと早くてもいいですよ、陽介さん」
余裕そうだな。
俺のほうがつらいまである。
というかこれが全速力なんですが。
進むにつれてだんだんと人気がない道に入っていくと、剣と剣がぶつかり合う鈍い金属音が聞こえてくる。
まずは現状把握だ。
「『そこまでだ!!』」
俺は『アテンション』を発動させ全員の注目を集める。
突然の乱入者に加え『アテンション』の発動でいっきに注目の的だ。
まるでアイドル。
一曲歌わせてもらおう。
どうやら争っているのは三人組と二人組だ。
二人組は普通の町人のような恰好をしているが顔だけは隠している。
三人組のうち一人は斬られてしまったのか既に戦闘不能だ。うずくまっている。
「子供!! 加勢する!!」
俺の声を聞いて慌てたように二人組の男達は撤退していく。
撤退が早い!
レジーナが追おうとするが手で止める。
「やめておけ! ローラ、治療を!」
「はい!」
ローラは治療魔術を唱えるとさっそくうずくまっている男を治療する
俺達の登場に驚きながらも子供は軽く会釈をする。育ちが良さそうだな。
「助かった。突然襲われてしまってな。備えはしていたんだが……自分が情けない。デールは大丈夫そうか?」
子供は治療を受けている男を心配そうに見ている。
デールと呼ばれた男はだいぶ楽になったのか、顔色は悪くない。
治療魔術を唱え終えたローラが答える。
「はい、傷は塞ぎましたが、神経まで治るのには時間がかかるでしょう。しばらくは安静にしていてください。それにしてもいったい何が?」
「ああ。ここじゃなんだな……。礼もしたい。一緒に来てくれないか?」
子供は俺を見る。
すごい綺麗な眼をしているし、とんでもない美形だ。
おねいさんいるかな!?
紹介してもらおう。
「レジーナ、どうする?」
「このままほっておくわけにもいかないでしょ! 安全な場所までは護衛するよ!」
やっぱりそうだよな。
子供はレジーナの言葉を聞いて安心したようだ。
8歳くらいか?
小学生1年くらいに見える。
ってことはおねいちゃんがいてもロリコン枠かよ……
「……陽介さん?」
にっこり微笑むローラが怖い。
大丈夫、愛しているのはローラちゃんだけだよっ
「…………」
反応してくれないが耳が赤い。
「こらこら、ローラで遊ばないの!!」
レジーナに頭を小突かれつつ子供の案内に従って俺達はその場を後にした。
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