第8話 凶悪の牙狼族のボスがやってきた

 魔女は今まで怒った表情を顔に出した事をなく、今日初めてキレた表情をだした。

 私は傷ついた冒険者に目を向け、血まみれた片手を冒険者に向け魔法を使った。


 三人の冒険者の周りに、渦を巻いた風が発動し、嚙みついたウルフは風の突風で離れていく。

 あのウルフが一度噛まれたら絶対離れない執念があるのに、この風の突風には負けてしまうって事か。


「こ、これは風魔法。とんでもない威力の魔法なの。さすがレベル99の魔女様」


「魔女様、俺たちを救ってくれて感謝します」


「貴方たちは、その場を動かないで下さい。エリカさん、貴方の魔法で仲間の傷を治して下さい。私はウルフを退治しますので」


「わかりました魔女様、頑張って下さい」


 風の渦の中でエリカは魔法を使い、仲間達の傷を癒した。もちろんエリカも自分の傷も治した。


「さて、ウルフ退治でもするか。冒険者も頑張ってくれてるし、私も頑張らないとね」


 私はウルフの群れの方に向け、少しレベル99の実力を発揮しようと思い両手を真正面に向け魔法の詠唱を唱える。


「火の魔法よ、敵を一匹残らず焼き殺せ!」


 唱えると、上空に凄まじい巨大な炎の玉が現れウルフの群れに凄まじい勢いで落ちていく。

 巨大な炎の玉が落ちると、森林の一面が焼き滅び爆発音と突風が上空に上げていた。


 多分村の住人にも、聞こえているだろう。

 また噂が広がると思うなこれ。これはこれでしょうがないしか言えない。


 しかし、魔力を弱くしたのにまさかこれ程の威力とは、まるでチートすぎるだろ。

 もしレベル99の全部の実力を使ったら森林全部焼き滅んでいるなこれ。


 ウルフは一匹残らず居なくなり、ウルフ討伐は成功した。

 冒険者は私の風魔法で傷一つくらっていない。

 その後、私は冒険者の方に歩き喋りかける。


「皆、大丈夫ですか」


「はい、大丈夫です。しかしさすが魔女様。まさかこれほどの実力をお持ちでしたか。

 魔女様のお陰で私達は助かりました、ありがとうございます」


「いえいえ、私もウルフ討伐したかったので」

 もちろん嘘です。

 冒険者に傷ついてたか少し本気を出してしまった。


「それじゃ帰りましょうか皆さん」


「はい、ウルフ討伐もしましたので帰りましょうか」


「あぁ、そうだな。討伐も出来たし帰るか」


 私達は無事に討伐し(私が倒したけど)、私は家に冒険者はギルドに戻っていく。



 その頃、何処かの屋敷で水晶玉で私の事を一部始終見ていた何者かが居た。


「ああー、なんて素晴らしいんだ。まさかこれ程のマナを持つ魔女がいるとは。

 身体が、身体が震えてしまうじゃないかー」


 何者かが嬉しそうに声を上げて喜ぶ。



 一方、私は冒険者に約束した事をもう一度告げ守ってもらえるよう喋った。


 冒険者はうんうんと頭を傾け、村では私の噂がまた広まった。


 本当に約束を守ってくれたか、一度村に向かった。


「魔女様、見ましたよ先ほどの爆発音。 さすがレベル99の魔女様です!」

「魔女様の実力、はっきりとこの目で知りました!」

「魔女様がいる限り、この村は安心で暮らせます!」


 もう、すっかり私が森林を燃やした事が話題になっていた。

 それはそうだろ。あの魔法が使える冒険者はこの村に居ないんだから。

 使えるとすると、私しかいない。


 まぁバレたらしょうがない。


 こうして私は、村の全員に私の噂を知り私は村を離れようと家に帰った。


 そのあと、私は自由な時間が始まり昔買った魔導書とモンスターを関する本を読みながら家でごろごろしていた。

 魔導書はまだ覚えていない詠唱を覚え、モンスターに関する本はこれから魔物を退治に頼まれる冒険者が現れると思い、私が出向かずにアドバイスを教えたら冒険者だけ魔物退治がらくらくできると思うかもしれない。


 もし冒険者が倒せない魔物が居たら私はある程度協力をするけど、倒せるぐらいの魔物なら私は出向かずにアドバイスをする。


 なにせレベル99だからな。これ以上私の噂を他の国中に広めたくないからな。

 あの討伐の日から数日経った後、他の冒険者は私の家にほとんどこなかった。

 まぁそっちの方が私は嬉しいけど。


 そんな事を考えていると、ドンドンとドアがノックされた。


 また冒険者が来たのかよ。 しかし乱暴なノックだな、ドアを壊されたくないし開けるか。

 留守中にしたら、いつかドアを壊されるから開けた方がましだな。

 私はそう確信し、ドアを開けた。


「はい、どなたですか?」


 開けると、昔から知っている一匹のウルフだった。


 しかし、今まで討伐してるウルフじゃなかった。

 白いウルフで、今まで見たことない巨大なウルフ。

 大きい体。鋭い牙。まさかこれほど巨大なウルフが存在するなんて魔物図鑑にも載っていなかったぞ。


 まさか数日前にウルフを討伐した事を知って来たのか。

 しょうがないだろ、討伐の依頼だったしそれに、冒険者を傷付けたのに。


「あの、ウルフが私に何の用ですか?」


「我は牙狼族のボス、サイカである。数日前、お前が我々の仲間を殺した魔女だな。そこで我が仲間の敵討ちをしようと思ってやってきたのだ」


 最悪だ、まさかウルフ討伐の敵討ちに来たとは。

 これは謝っても意味がないな。


「あの時は貴方たちの仲間が悪いんです。冒険者を傷付けしたのは貴方たちでしょう」


「五月蠅い! 我ら牙狼族を侮辱をするのか。 貴様らが我々の仲間を殺そうとしたじゃないか。 牙狼族の名をかけてどっちが強いかはっきりしようじゃないか」


 いやいや、私は戦いたくないわ。


「もし嫌です、って言ったらどうしますか?」


「そんな事、我が絶対許さないぞ。 もし我と戦わないと言うならばその家、壊してやる」


 それは困る。

 私の家が潰されたら、私はずっと村で住まないといけないじゃないか。

 ずっと私の噂を聞かれ、生活するなんて心がつぶれる。


 これはもう戦うしかないな……。


「わかりました。やりましょう。その代わり、私が勝ったらもう家に来ないでください。

 仲間を殺したのは、本当にごめんなさい」


「よかろう。貴様の言う通りにしよう」


 私たちは家から離れかなり広いところまで移動した。

 家で戦闘したら壊されるかもしれないしな。


「では、この牙狼族のボス、サイカの力を思い知れ!」


「はいはい、貴方から開始してもいいですよ」


 ウルフは私の方に物凄い速さで、牙を出しながら襲いかかる。


「我の鋭い牙で貴様の首を落としてやる」


 鋭い牙で襲いかかってきたけど、私は簡単で軽く避けた。


 もしこんなものをまともに喰らってたまるか。

 首元に痕がでたらどうしてくれるの。

 しかし、どうすればいいかな。このまま避けていたら決着がつかない。


 少しだけ弱い魔法を使うか。


「この周辺を凍てつかせよ!」


 氷雪の魔法を走ってるウルフにぶつける。


 このままウルフを凍らせたら、決着つくだろう。


 そう思ったけど、ウルフは更に速くなり、私の氷雪魔法を避けた。

 まじか! 更に速くなってるけど。


「そんな魔法で、我を止めると思うなよ。 そんな魔法を使っても我の速さについてこれるか」


 自信満々で、私に喋りだすウルフ。

 さてと、どうやって戦おうか。あの速さしな。


 私はウルフの攻撃を簡単で避けて悩み事をする。


「貴様、我の攻撃を避けて考え事か。生意気な魔女め。我の本気見せてやろう」

 先ほどよりもっと速く走りだし、ウルフの本気を見せてもらう。


「よし、これならウルフを傷一つ付けなく決着がつく」


 私は簡単で決着する作戦を考え、自分の両足を強化魔法を使った。

 相手が速いスピードで襲いかかるなら、私もスピードで勝負してやろう。

 両足を強化魔法したまま、ウルフよりもの凄い速さで走り接近した。


「貴様、我のスピードに追いつくと言うのか。だが甘い!この距離なら貴様に我の鋭い牙で殺してやる」


 鋭い牙で、私の方に振り向き殺そうとした。

 私はそれを待っていたと思い、氷雪魔法で鋭い牙に放つ。


「この周辺を凍てつかせよ!」


 ウルフの鋭い牙が凍りつき、白い霧が出る。


 ウルフの鋭い牙が、氷の牙になった。


「うっ、つ、冷たい、冷たい! ウッウウウウ!」


 ウルフは牙に冷たい感じし、パニックになって凄まじい速さが急に遅くなり周りを走ってた。


 よし、作戦成功。これならすぐに決着がつくな。


「どう、私の氷雪魔法は。結構冷たいでしょう」

 しかし、まだ止めないのか。

 これ以上走りまわれたら、困るんだけど。


 そう思い、ウルフを見ていたらパニック状態で走り私の家の方に走り向かった。

 それを気づいた私はウルフに止めようとする。


「ちょ、ちょっと待って。 そっち私の家なんだけど。壊さないで」


「ウウウウウウ!! 冷たい、冷たい、冷たいいいい!!」


 止めようとするけど、ウルフは私の事を聞かず、私の家の方に走って――家のドアからぶつかった。


 ドカーーーーン!!


 家のドアが壊れ、更に部屋中壊れた。


 私は家を壊され、プツンと切れた。


 私は動いてないウルフに近づき


「私の家を壊さないでって言ったでしょうが!」


 ドゴォン!


「グハッ!」


 ウルフの顎に素手で殴る。


 そのパンチでウルフは寝転び倒れた。

 黒い霧が出ていないから死んではいないと少しホッとした。

 下級の魔物は弱く殴ったらワンパンで倒せるけど、中級ぐらいの魔物なら死なないと確信した。


 しかし素手で殴ると、やっぱり手が痛い。


「き、貴様……これ程の力をお持ちとは。さすが魔女、いつでも我を倒せたと言うのか」


 ウルフは自分が負けて、そのまま寝転ぶ。


「さてと、私の勝ちって事でいいよね」


「無論、貴様の勝ちだ。貴様の言う通り我はもうここに来ないと約束しよう」


 ウルフは立ち上がり、森林の方に帰ろうとすると


「ねぇ、サイカさんちょっと待ってくれる?」


 私はウルフの横腹をつつく。


「なんだ?我は今から帰ろうとしているけど」


「その前に、私の家どうしてくれるの? ウルフのサイカさん、なおしてくださいね。

 じゃないと私、怒りますよ!」

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