無味乾燥
重い身体を引きずって布団から出た。
今日は確か日曜日だったと思う。
そんなことを考えてたか考えてなかったか分からないまま、私はいつも通りの制服に身を包んだ。
行く場所なんて決まってないけど。
ただ心を休めるにも回復値には上限があって
これ以上目を閉じていれば今度は折り返してまた精神を摩耗して行くのが分かっているので
とりあえず何かをしたい。
メイクはしなかった。
日焼け止めだけ塗った。
外見だけでも、白く、儚くありたかった。
許されたかった。
手首が随分と痩せてしまっていた。
外に出てからとある公園に向かった。
道の途中で一匹の猫と目があったけど
私は先にその目を逸らしてしまった。
その鋭い視線に私の全てを捲られそうで怖かった。
公園についても別に何かしたかったわけじゃないのでとりあえずベンチに座った。
少し先には幼稚園児らしき子供とその親たちがいた。
視界の端で彼らを見ていると
その母親たちが私を見ながらひそひそと話し始めた。
家出少女〜なんて言われてるのかしらね。
やっぱりちょこっと気分がいい。
自分を『異常』として見ず知らずの他人の中に刻むのが、唯一私が存在できる方法な気がしていた。
もう、なにも考えていなかった。
私はなにも考えられない。
考えれば考えるだけ、
白濁した渦に飲み込まれていった。
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