19 北海道のファミレスと言えば?

朝食を食べ終わり、出発の準備を始める。

トラクターには内田さんと大橋、アルファードには早見さんと沢城さんと悠木、キャンピングカーには俺と佐倉さん、トラックにオッサンだ。

オッサンはこっそり家族写真を持って来てたので寂しくないだろう。

出発の準備も整い、高速に乗るため入口を目指す。

ここから近いのは大谷地だが、ガソリンが心許なくなってきたので、途中ガソリンスタンドに寄って行こうと思うので、少し遠いが札幌南から高速に乗る事にした。

先頭は内田さんが運転するトラクターだが、今のトラクターってあんなにスピードが出るんだな。

勢い良く車もゾンビも吹き飛ばしている。

ただ数が多い時には、ゾンビに襲われない俺と大橋が車から降りて車を避ける。

知ってる人もいると思うが、車なんてサイドブレーキをかけていなければ簡単に動かせるからな。

力?関係ない。

タイヤを押して転がせば女性でも動かせる。


暫く進むと橋が見えて来た。

陽だまりロードと言うらしい。

(あれ?しあわ・・・うっ、頭が)

妙な既視感を覚えながらも先へ進む。

空いている道を選びながら進んで行くと、住宅街に入ってしまった。

そのまま進み大きい通りまで出ると、ガソリンスタンドを発見したので、そこで給油をする事にした。

セルフなので金さえ払えばガソリンを入れれるだろう。

給油をオッサンに頼むと俺は周辺の警戒にあたる。

すると近くにファミレスがあったので食材がないか探す事にした。

オッサンに銃を渡し、大橋に警戒を命じファミレスへと向かう。


ファミレスの自動ドアは動いていたのでそのまま入店する。

そこにはエプロンをしてお店の制服姿をした、ポニーテールの女の子が一人立っていて、こっちに対しお辞儀をしていた。

生存者?と思ったがその女の子が頭を上げた瞬間、間違いだと気付いた。

女の子の目は赤かったからだ。

こちらに向かって来ようとしたが慌てて停止させる。

王の力も成長してるのか、すんなりと女の子ゾンビは止まってくれた。

女の子ゾンビを後回しにし、まずは周りの状況を確認する。

何故ならそこには、いくつもの死体が転がっていたからだ。

一つは茶髪のショートカットで何故かファイティングポーズを取っている女の子。

一つは金髪っぽい長い髪で何故か刀を手にし腰に鞘を差している女の子。

もう一つはダイイングメッセージを残しているな。

何々、【ヤマダ】?意味がわからん。

後は客で来ていたであろう死体が10体ほど転がっている。

余ってる食材がないか探しに行った厨房にも死体はあった。

コック姿の金髪と青髪の青年だった。

二つとも腹を食べられていたが、金髪はタバコを咥えたまま、青髪は微笑みを浮かべたままで幸せそうだった。

従業員の休憩室にはパフェのスプーンを持ったまま事切れている女性もいた。

凄惨な現場なはずなのに何故かコミカルだ。

冷蔵庫には野菜がまだ残っていたので手に持

てる分だけ持ち、ファミレスを出ようとすると女の子ゾンビと目があった。

忘れてた。


「付いて来るか?」

(コクリ)


サクッと隷属した。


「でもこんなちっちゃな女の子を働かせるなんて酷いとこだな」

(ちっちゃくないよ!)

「何歳?」

(17歳。もう大人だよ!)

「名前は?」

(阿澄 花だよ!)

「わかった。それじゃよろしくな阿澄」

(よろしく!カタナシ君!)

「カタナシって誰だ?」

(わからないけど自然に出てきたよ!)


よくわからない事を話す子だけど、大橋より少し流暢に喋るな。

やはり食べた数によるんだろうか?

あとで検証だなと考えながらファミレスを後にする。

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