仲間No.1 悠木 青(ゆうき あお)
俺の名前は 悠木 青。
今年の春から高校生になる予定の15才だ。
学校なんて行ってないけどな。
中学時代にいじめに遭い、それから家に引きこもりだ。
親は心配しているが、昨今はいじめで自殺する奴が後を絶たないから、自殺されるよりはよっぽど良いと容認されている。
まあいじめの原因ってやつも俺にも隙があったんだよな。
あれは中学1年の夏。
俺は昼休みを利用しノートに絵を描いていたんだ。
俺の好きなBL。
所謂ボーイズラブってやつだ。
それを男子に見られた。
俺は激しく後悔した。
ノートを取り上げられ、周りの同級生に見せて回られる。
必死に取り返そうとするが、その頃から低身長な俺には手が届かない。
それから俺へのいじめが始まった。
最初は「キモイ」だの「サイテー」だの言葉の暴力だった。
次に靴や勉強道具などの所持品が隠された。
流石に人を傷付ける勇気はなかったのか、殴る蹴る等の暴力はなかった。
親が先生に掛け合ってくれたが、先生は子供同士の事ですからと取り合わない。
そのうち俺の心は壊れ、学校にも行かず家に引きこもるようになった。
そしてパンデミックが起こった。
街にゾンビが溢れ人が次々に襲われていく。
俺は歓喜した。
引きこもりなどほとんどがこの世界に大なり小なり不満を持ってるような奴だ。
俺もそうだ。
いつか世界が滅べば良いといつも思っていた。
それに備え準備もしていた。
この世界で生き残るために。
流石に自分が死にたいとは思ってないからな。
その日は朝から両親とも仕事に行っていて、俺は家で一人で過ごしていた。
暇つぶしにネットを見ていたら次々にあがるゾンビ動画に嫌な予感がした。
案の定、外で悲鳴が聞こえてきたので、自室がある二階の部屋の窓からカーテンを少し開け外を覗くと、人が人を襲う光景が飛び込んできた。
まさに阿鼻叫喚。
流石の俺も怖くなりカーテンを閉め、ベッドの中に潜り込んでブルブルと震えちまった。
そのまま寝てしまったのか、気付いたら次の日の朝になっていた。
何時間寝ていたのかわからないが、一種の現実逃避だったのだろう。
一日寝たことでこの世界を受け入れる覚悟もできたので、前々から準備していたボウガンを押し入れから取り出す。
それをゾンビに見つからないよう窓を少しだけ開け、頭に狙いを定め発射する。
一本目はゾンビの肩に当たり衝撃で後ろに倒れた。
しかし何事もなかったかのように再度立ち上がりノロノロと歩き出す。
俺はもう一度そのゾンビに照準を合わせ二発目を発射する。
今度は見事に頭に命中し、ゾンビは脳漿を散らしその場に倒れた。
それから何体か倒し慣れてきたところで生存者の悲鳴が聞こえた。
そちらを見ると一人の男性がゾンビから必死に逃げて来ていた。
男性は後ろを気にしていたせいか、曲がり角の影にいるゾンビに気が付いていない。
俺はボウガンを構えそのゾンビに矢を放つが外してしまう。
その隙にゾンビは男性に襲いかかり、首筋に齧りつき鮮血を撒き散らす。
助けられなかった。
助ける事ができる手段を持ちながら助ける事ができなかった。
悲しみを我慢し再度矢を放つと、あっさりと頭に当たりゾンビが倒れる。
自分の不甲斐なさに憤りを感じながら、次々と寄って来るゾンビに手当たり次第に矢を放つ。
矢を補充しに一旦窓から離れ、また戻ると奇妙な男がそこに立っていた。
透明なPOLICEと書かれた盾を持ち、平然と道路の真ん中に佇んでいた。
怪しかったのでとりあえず盾に向けて矢を放ってみたが簡単に弾かれた。
それが奴、福山 瞬 との出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます