第1章詩はこころのおやつだったりくすりだったり
海乃もくず
聖夜の扉
僕は寒々とした部屋の窓から見える
月に君の面影を描いている
この前ポストに投函した
クリスマスカードを気にしているのも
君に夢中な証拠なんだ
だけどもし僕がこの
冷え切った氷に囲まれた世界に
落とされる運命ならば
僕の愛に通じる扉は
いつまでも開かれることを知らないままだ
今宵君が扉を叩いてくれる事を祈って
僕のありったけの愛をグラスに注ごう
君は今頃家に着いて
残った仕事に目を通しているんだろうか
それともひとりでいる寂しさを紛らわすため
爪を噛むことを避けて誰かにずっと
電話しているんだろうか
だけどもし君が今
そばにこの僕を見出したならば
君は僕に何を望むのだろう
僕の愛に通じる扉は
やっと眠りから覚めて静かに立っている
今宵君が扉を押してくれる事を祈って
僕のありったけの涙をグラスに注ごう
僕はカレンダーを目をやって
まもなく訪れるはずの
クリスマスイブまでの日数を数える
まだ僕が心からメリークリスマスと
いったことがないといったら
君は私も、と言ってくれるだろうか
クリスマスソングがひびくこの街角
星屑たちが覚えていたところによれば
君のひとりぼっちのささやきは
空を仰いだほかのどんなうたより
ずっと切なくて
君を見守りたくなったそうだよ
お願いだ
そこで目を伏せないでおくれ
君のその未来を見つめる目が
僕の扉を強く動かしているのが
わからないの いとしい人
僕の愛に通じる扉を
強く強く揺さぶるのは
君だけ
今すぐに押し開いて
今宵君が扉を開けてくれる事を祈って
僕のありったけの夢をグラスに注ごう
今宵君が僕を抱きしめてくれることを祈って
僕のありったけの愛をグラスに注ごう
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