第10話 魔法祭、開幕!
「ここか……。」
俺が試合会場はAアリーナ第1試合場だった。控室に行くと俺より3試合ほど後の人までもが準備を始めていた。
試合は制服で行うため準備はほとんどいらない。周りの人は集中をしていたり、緊張を和らげようと友達と話していた。
「けいちゃん……。」
「姉さんか、どうかしたの?」
「私聞いたよ、慧ちゃんが私たちのことで竜之介君と決闘をすること……。」
「そっか……でも俺後悔はしてないよ。俺は姉と妹を誇りに思ってる。だから俺は自分勝手にキレたダメな弟で兄なんだよ。俺は自分のために戦う。」
「ううん……そんなことない!私は……」
何か姉さんが言いかけたところで俺の名前が係員に呼ばれた。
「竜虎 慧さん。」
「はい。それじゃあ姉さん、行ってくるね。」
「竜虎さん。では会場のほうへ移動してください。」
俺はうなずき会場のほうへと向かっていくと会場には既に待っている人もいた。試合の開始は同時に行うため俺を待っていたようだ。
「あいつ落ちこぼれの癖にノロマときたぜ。やっぱり外交科はダメだな。ギャハハハハ!」
周りのくすくすとした笑い声が響く。外交科を落ちこぼれと判断することに関しては勇者科も魔王科も団結しているんだろう。姉さんと桃には怒らないようにと伝えておいたがいつ爆発するかわからない。外交科の周りの顔が曇っているのが分かった。
「ここは少し周りの抑制も兼ねて少し力を出しとくか……。」
俺の相手は名前こそ知らないが油断は絶対にしない。俺がコートの中に入ると司会者が話し始めた。
「ルールブックに載っていますがもう一度軽くルールの確認をしておきます。試合時間は無制限、どちらかが降参もしくは気絶するまでとします。どちらかの生命に危険が及ぶと判断した場合、教員が割って入り試合を強制終了いたすこともあります。アイテムや凶器等の使用は不可です。では………」
「始め!」
同時に全ての場所で試合を開始した。
「あまり落ちこぼれをいじめてやるなよ、雄介~。」「やっちまえ!」「ボコボコにしても外交科だから赦されるぞ!」
ここまで言われるとは正直思っていなかった。しかし……外交科の声援がないというのは結構悲しいものだな。
「悪いね、落ちこぼれくん。君に恨みはないけどクラスのみんながそれを望んでいるんだ。」
「いや、謝らなくてもいいぞ。あと質問だがお前、竜之介と絡んでるのか?」
「あぁ、だから悪いが竜之介のために勝たせてもらうぜ!」
雄介はルーンを書き始めた、確かに外交科の人々よりは圧倒的に描くスピードが速い。
「くらえ!」
ショックボルトにハリケーンか、1年生にしては将来有望だな。
「だから落ちこぼれって言われるんだよ!」
俺がサイドステップをするとハリケーンに隠れてこちらに近づいていた雄介がすかさずファイアーボールを放った。
「なるほどな、これが優等生の実力か……。」
ファイアーボールは俺の目の前で炸裂しあたり一帯は煙に包まれた。
「やっぱり弱いな。へッ!」
煙が晴れると驚いたような顔でこちらを見た。
「なんでお前俺のファイアーボールくらって立っていられるんだよ!?」
「あぁ、直撃をくらったよ。でも……それじゃ届かない。『フォールンエンジェル』」
「お……お前のその姿なんなんだよ!?」
周りが驚き俺のほうを指さす。
「おい!なんだあれ!」
「嘘でしょ!?あれは佐伯先輩と同じ……」
「俺の天使名は『ミカエル』だ。」
俺は羽を毟るとその羽が瞬く間に剣へと形を変えた。
「天使で戦うなんて久しぶりだぞ。行くぞッ!」
「こっちによるんじゃねぇ!」
そういいつつ雄介は魔法を放ったので俺は翼を使い空中で旋回しながら避けつつ間合いを詰めた。
「わかった!もう馬鹿にしないから!お前ら外交科をもう二度と馬鹿になんかしません!」
雄介が勝負を放棄して走って逃げ始めた。俺は一気に近寄り首を断ち切ろうとした。
「降参!降参するから!」
首に当たる寸前で俺が剣を止めると雄介は失禁した。
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俺が試合を終えて客席へ行くと外交科のみんながこっちに集まってきた。
「おい慧!どういうことだよ!」
「あー……たまたま習得できただけだよ。」
「すごいっていうのもあったけど……何より俺はすっきりした!ありがとうよ!これであいつらも俺たちが外交科の応援をするのも邪魔しずらくなるだろうな!」
「俺も少しむかついてたからな。」
「すごいですね!慧さん!」
「ありがとう、花音。」
俺は仲間たちと喜びを分け合った後違うところへと足を運ぼうとしていた。
「どこに行くんだ?」
「これから桃の試合だ。」
俺は桃のいる第2試合会場に行こうとした。
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「見ました?彼の試合。」
「あぁ、あれはこの国にはもったいないな。」
「ずるいですよー。私にも彼をもらう権利くらいあるはずです!」
「そうだな。それはお互いの国で相談するしかない。それにしても謎多きやつだな……。」
「竜虎 慧………。」
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